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連続通り魔事件_3 ページ8

家の最寄り駅である澄川町駅にたどり着いたのは、23時を回っていた。

駅周辺では、1台のパトカーが巡回しており、
このあたりもパトロールが強化されているのか、と実感する。

葵の家は、駅から歩いて10分ほどの距離にあるが、途中に外灯が少ない路地を通らなくてはならない。

(先生と通り魔の話をしたからかな。ちょっと、怖くなってきたかも..)

まぁ、警戒することは大事だし、多少怖いくらいの方が…

などと考えていると、

ザッ
ザッ

後ろの足音が妙に気になった。

ザッ
ザッ

まぁ、ただ、方向が同じだけだろうし…

そう考えつつも後ろへの警戒を続けながら、歩を早める。

暗い路地に足を進めると、後ろからの足音の間隔が早くなる。

ザッ
ザッ
ザッ

(近づいてきてる…)

葵はすぐさま走り出したが、後ろからの足音の方が早い。

ザザッ
ザッ

ザザッ

(ん?2人…?)

足音が増えたように感じながらも、
くるっと器用に体を回転させ後ろを振り向くと、

目の前にキラッと光るものを手にした人物がこちらに走ってくる。

(… ナイフ…!?)

自分目掛けて走ってくる人物に焦点を合わせ、葵はとっさに目つきを鋭くさせる。

そして、間合いに入ったところで、
両手ですぐさま相手の腕を掴み、片手で捻り上げる。

「うっ」

小さく呻き声を上げた相手の鳩尾めがけて、肘打ちを食らわせる。

「う…」

男がひるんだ瞬間、
葵は勢い良く男を投げ飛ばした。

地面に投げ飛ばされると同時に、
被っていたフードが脱げると、中年の男の顔が露わになる。

手にしたナイフがカランと音を立てて地面に転がる。

フードを被った男、
と、
ナイフ。

連続通り魔の犯人、だろうか。

落ちたナイフを靴で押さえつけ、
スマホを取り出そうとカバンに手を入れようとしたとき、


「大丈夫か!?」

一人の男がこちらに走ってきた。

ふわっとした天然パーマにグラサンという、なんともいかつい風貌をした男の登場に、
再度身を硬くする葵。
2人分の足跡のもう片方は、この男か。

瞬きを繰り返して、警戒心全開の葵に、
グラサンの男が口を開く。

「あ、悪い。警察のもんだ」

そう言いながら、男はジャケットの内側から取り出した警察手帳を見せた。

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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月1日 21時

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