若宮隼人_3 ページ46
そんな中,ようやく引き受けてくれる弁護士が見つかった,と若宮結子と現れたのが,
現在の葵の上司である茅野雪絵である。
USB データの所持,指紋,以外の証拠は上がらず,
相変わらず任意のままである事情聴取をこれ以上引き延ばすことは法に触れる,と,
隼人を取り調べから解放してくれたのである。
実に,取り調べ開始から2週間が経っていた。
その後,警察の調べにより,
隼人と同じ大学に通い,度々同じ講義を受けている男子学生が,
過激派組織のメンバーであることが発覚し,USBの彼の持ち物である可能性が浮上した。
本人は否定し続けたこともあり,また,一度公安に目をつけられるとその目からは逃れることは不可能で,
隼人は取り調べから解放されてからも,警察からの監視を受けることになった。
もちろん,公に,ではない。
しかし,電柱に,車の陰に,
人の気配を感じ,隼人の精神は確実にすり減っていった。
本人は,家族や周囲に心配をかけまいと,笑顔で過ごしていたが,
家族もまた,心無い第三者からの視線やマスコミ報道に、精神的に追い詰められていた。
葵は、隼人を心配しながらも、
以前と変わらず振舞っていたが、隼人の心に残った傷はそう簡単には癒えそうになかった。
本人は何も言わなかったが、ふと見ると、手の甲に傷があったり腕を痛そうにしていたりと、
ずいぶん荒っぽい取り調べを受けたんじゃないか、そう感じていた。
ドラマや小説で見るような話で、正直なところは分からないが、過激派組織、テロ、となると、無理やり供述させるようなこともするんじゃないか。
父親に聞くことは、もはやしなかったが。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月1日 21時