松田刑事_3 ページ21
「不当な取り調べ…ね。
自白を強要された、ってやつか?」
葵だけでなく神山にも視線を向け、少し威圧的な雰囲気を纏う松田。
その横の佐藤も、険しい眼差しをこちらに向ける。
そして、
松田に睨まれ、少しおびえている様子の神山に対し、冷静な態度を崩さない葵。
『ただ、木本の話を立証したい、という訳ではありません。
真実を明らかにするために、どういった取り調べをされたのか、松田刑事自身のお話を聞かせて頂けませんか?
それと、これまでに松田刑事が取り調べをされた事件で、同様に被疑者から不当行為を主張されたことはありますか?』
葵は、佐藤に対しても問いかけると、
「…確かに、彼は荒っぽいところがありますが、不当な取り調べを行う刑事ではありません。
それに、これまで、被疑者から訴えられたようなこともありません。」
強い口調で葵に主張する。
彼女の言葉に続いて、
「…。
話って言うけどな、まだ被疑者の段階だ。公表されてねぇことも当然ある。
話せねぇことも多いだろ」
先ほどまで威圧的な雰囲気だった松田が、
葵に話し始める。
木本の話を立証したい、という訳ではない。
その葵の姿勢が、彼らに伝わったのだろうか。
神山はそう思った。
“あくまで、中立的な立場をとるように。”
留置場に向かう前に言った言葉を思い出す。
そうだ。
まだ、何が本当かわからない。
当然、この、松田刑事が不当な取り調べをした証拠がある訳でもない。
彼の威圧的な態度と、警視庁の雰囲気に飲まれて、
考えが流されそうになっていた自分に気づく。
神山は、すっと深呼吸をして思考をクリアにして、
会話の行方を注意深く聞いていた。
『当然、それは理解しています。
私がお聞きしたいのは、取り調べ中に、どのように木本と接していたか、についてです。
例えば、机や椅子を叩いたり蹴ったり、といった行為はありましたか?』
「…机を多少叩くことは確かにあったが、蹴ったり、まではねぇな。」
『暴言を吐いたことは?
例えば…“お前のようなクズ”、だとか。』
「はぁ?それはねぇよ。
まぁ、俺は口が悪りぃから、暴言って言われりゃそういうこともあるかもしれねぇけどな。」
鼻で笑いながら、
やってられねぇと言わんばかりに松田が答える。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月1日 21時