検索窓
今日:40 hit、昨日:17 hit、合計:110,845 hit

松田刑事_3 ページ21

「不当な取り調べ…ね。
自白を強要された、ってやつか?」

葵だけでなく神山にも視線を向け、少し威圧的な雰囲気を纏う松田。
その横の佐藤も、険しい眼差しをこちらに向ける。

そして、
松田に睨まれ、少しおびえている様子の神山に対し、冷静な態度を崩さない葵。

『ただ、木本の話を立証したい、という訳ではありません。
真実を明らかにするために、どういった取り調べをされたのか、松田刑事自身のお話を聞かせて頂けませんか?
それと、これまでに松田刑事が取り調べをされた事件で、同様に被疑者から不当行為を主張されたことはありますか?』

葵は、佐藤に対しても問いかけると、

「…確かに、彼は荒っぽいところがありますが、不当な取り調べを行う刑事ではありません。
それに、これまで、被疑者から訴えられたようなこともありません。」

強い口調で葵に主張する。

彼女の言葉に続いて、

「…。
話って言うけどな、まだ被疑者の段階だ。公表されてねぇことも当然ある。
話せねぇことも多いだろ」

先ほどまで威圧的な雰囲気だった松田が、
葵に話し始める。

木本の話を立証したい、という訳ではない。
その葵の姿勢が、彼らに伝わったのだろうか。
神山はそう思った。

“あくまで、中立的な立場をとるように。”

留置場に向かう前に言った言葉を思い出す。

そうだ。
まだ、何が本当かわからない。
当然、この、松田刑事が不当な取り調べをした証拠がある訳でもない。
彼の威圧的な態度と、警視庁の雰囲気に飲まれて、
考えが流されそうになっていた自分に気づく。
神山は、すっと深呼吸をして思考をクリアにして、
会話の行方を注意深く聞いていた。


『当然、それは理解しています。
私がお聞きしたいのは、取り調べ中に、どのように木本と接していたか、についてです。
例えば、机や椅子を叩いたり蹴ったり、といった行為はありましたか?』

「…机を多少叩くことは確かにあったが、蹴ったり、まではねぇな。」

『暴言を吐いたことは?
例えば…“お前のようなクズ”、だとか。』

「はぁ?それはねぇよ。
まぁ、俺は口が悪りぃから、暴言って言われりゃそういうこともあるかもしれねぇけどな。」

鼻で笑いながら、
やってられねぇと言わんばかりに松田が答える。

松田刑事_4→←松田刑事_2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.2/10 (50 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
105人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:white12 | 作成日時:2019年7月1日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。