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松田刑事 ページ19

朝も来たな…という視線を向けてくる受付の女の子に、
事情を話し、木本を取り調べた松田という刑事に連絡を取りたい旨を伝える。

「結城さん!」

しばらくして、同じく数時間前に目にした高木が現れる。

『高木さん?』

ん?知り合いか、と神山は二人を交互に見つめる。

「例のコンビニ強盗に関わってらっしゃるんですね。
あれは、捜査一課の案件でして…」

『やっぱりそうでしたか。…それで、木本の取り調べを担当した刑事に少しお話聞かせて頂きたいのですが…』

「担当したのは松田さんで…
えっと、昨日貴方も会っているサングラスの…」


世の中狭いもんだ、と葵は思った。


高木の案内で再びエレベーターに乗り、松田刑事のデスクへ案内される。
今朝と同じく、タバコの匂いがする中、事情が掴めない様子でえらく話を聞きたそうな神山に、
葵は昨晩のことを軽く伝える。

「偶然ですね…!世間って、狭いもんですね」

葵の心を読んだような神山の言葉に、葵は苦笑いを浮かべた。



「松田さん、えっと、茅野法律事務所の結城さんが話を聞きたいそうなんですが…」

捜査一課のオフィスに案内され、
高木は、デスクで書類と睨めっこをしているグラサンの男に声をかけると、
男は首だけ葵たちの方へ向けた。

こちらに顔を向ける男は、間違いなく昨晩、警察だと名乗った男だった。

荒っぽい取り調べ。
机や椅子を蹴るなどの暴行。

その風貌から、想像出来ない訳ではなかったが、
口調やいでたちで何かを判断するという考えは、葵には備わっていない。

『お仕事中すみません。
昨晩は、ありがとうございました。

今日は別件で伺ったのですが、
10日前のコンビニ強盗事件の被疑者、木本の取り調べを担当したと聞いています。
少しお話聞かせて頂けませんか?』

淡々とした口調で要件を伝える葵に対し、神山は、刑事だらけの捜査一課で少し萎縮している様子だ。

「あぁ、アイツか…
話って?わざわざ弁護士が何の用だよ」

『詳しいことは、出来れば別室でお願いできると助かります。』

他の刑事がいるガヤガヤとしたオフィスで、
自白を強要されただのなんだのという話を持ち出すつもりは葵には毛頭無かった。

「あー…悪りぃが、ちょっとこれ片付けてからにしてくれると助かる。」

葵の空気を察したのか、
そう言いながら、手にした書類をひらひらと上下させる松田。

30分ほどで対応できるということで、
またもや高木の案内で、葵は神山と別室で待たせて貰うことにした。

松田刑事_2→←被疑者との面会_4



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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月1日 21時

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