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「Aー!こっちこっち!」
3限からの金曜日。お昼を食べてから講義を受けようと食堂で待ち合わせた私たち。
手をブンブンと振る友達を見つけて私も手を振りながら、食堂の入り口を通れば前から出てくる男子学生の集団。
…その集団の中には昨日の先輩がいた。
そして、運良く?とにかく目があった私たち。私は咄嗟に頭を下げて、昨日はありがとうございました、と声をかけた。
「…おォ」
「ハンドクリームもわざわざありがとうございました」
結構ショックだったので、とそう言えば少し頬を染めながら大丈夫だ、とぶっきらぼうな先輩。
「不死川、誰その子」
先輩の後ろから肩を組んで、まるでバックハグのような状態で問いかける。先輩と同じ白銀の長髪で、先輩よりもだいぶ大きい男性。
きもい、離れろと腕を掴む先輩をもろともせず、私をまじまじと見るその姿に思わず一歩引いてしまった。
…というか、不死川って言うんだ先輩。
「…別にいいだろォ」
「俺らの仲だろ、水くせぇ」
あーだ、こーだと言い合いをしている2人。嫌々言い合っているが、きっと本当はとっても仲の良い2人なんだろう。
そんなことを思っていると男の先輩は、あ、と閃いた様子で、そしてすぐにニヤニヤと不死川先輩に耳打ちした。
すると不死川先輩は顔を真っ赤に染め上げて、男の先輩の襟元を掴む。冗談、と男の先輩はゲラゲラと笑っている。
「俺、宇髄、木下Aちゃんだろ」
「え?名前」
「あー、それはだな」
「………。」
ニヤリと口角を上げる宇髄先輩は、隣の不死川先輩を見る。釣られて私も不死川先輩を見れば、ギロリとそれだけで殺されそうな目で宇髄先輩を睨んでいた。
怖い怖い、と言うがまったく感じられず、それどころか堪らないという風に笑っている宇髄先輩。
「…ネームプレートに書いてあんだろォ」
「あ、たしかに!よく来られますもんね」
そっぽ向いて、小さく呟く不死川先輩に対してつまんねー、と言う宇髄先輩をまたも睨みつける不死川先輩。
…輩?やっぱりそっち系?
「そんな怖い顔してると勘違いされるぞ不死川」
「……ちげェ」
違う違うこの人たちエスパーだ。
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三月の専属ストーカーなつめみく - 宇随さんの小説でホイップ増量でェってセリフがリンクになってたから飛んでみたらいきなりさねみんがホイップ増量でェとか言ってて吹いた。 (10月25日 16時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - にじさん» にじさん初めまして、コメントありがとうございます!実弥さんらしさがなかったら…と不安でしたし、皆さんが想像しやすいように描写の方も力を入れているのでそう言って頂けて嬉しいです、ありがとうございます( ; ; )今後も頑張りますのでよろしくお願いします…! (2021年2月21日 23時) (レス) id: e728655408 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - コメント失礼します。蓮さんが書く実弥さんとても好きです…。こんな恋がしてみたい!ときゅんきゅんしてます…!描写も一つ一つが丁寧でとっても素敵で…これからもコッソリと更新を楽しみにさせて頂きますね。 (2021年2月21日 17時) (レス) id: 7dcf5a18d1 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - パチ麻呂さん» パチ麻呂さん初めまして、コメントありがとうございます!実弥さんとの恋を楽しんで頂いてるみたいで私も嬉しい限りです!労いのお言葉までありがとうございます…!甘くしていけるよう努力してまいりますので今後もお付き合い頂ければ幸いです。よろしくお願いします! (2021年2月19日 22時) (レス) id: e728655408 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - コメント失礼します。文章1つ1つが可愛らしいというか、恋してる気持ちになれて堪りません( ; ; )スマホ片手にジタバタしちゃうくらいキュンキュンします。これからも楽しみにしています。お体に気をつけて蓮さんのペースで更新頑張ってください! (2021年2月19日 5時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蓮 | 作成日時:2021年1月26日 21時