ホイップ増量で。【不死川実弥】

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「大学の先輩だったのね！」



なんだかきゅんきゅんしちゃう、と言って手を握りながらうっとりするのは蜜璃ちゃんの癖だ。バイトが終わっていつものように2人で歩いていれば、自然と先輩の話題になった。


「うん、びっくりしちゃった」
「ゼミとか同じじゃないと関わらないものね」
「ほんとそれ」


私はサークルとかに入ってるわけじゃないし、蜜璃ちゃんの言う通りゼミの先輩以外は関わりがないに等しい。

しかも、この間の授業はたまたま1.2年生が同じだったけど、大体は1年生のみ、2年生のみ、みたいな授業形式だ。

本当に関わりがないから、今回のことはびっくり仰天だ。


「でもよかった、ハンドクリーム戻ってきた」
「優しい先輩なのね」


ぶつかってきた挙句ろくに謝りもしない最悪女、といったところなのにわざわざ届けてくれるとは。

相当親切な人なんだろうな、本当に見た目で判断してはいけない。


…反省、反省っ…。




「寒いわね、今日」
「寒い」


10月のまだ中旬だと言うのに、今日はとても寒い。アウターのチョイス間違えた、と思いながらふと横を見ればコンビニが。

そして私と蜜璃ちゃんは顔を見合わせてにんまりとお互い笑いながら、吸い込まれるようにコンビニへ。

ハンドクリームを無くした自分への救済ではなく、ハンドクリームが戻ってきたというお祝いだと言い聞かせた。

肉まん100円セールという店内の掲示物を見て、2人で即決。熱々のピザまんとあんまんを2人で半分こした。


「美味しい」
「最高だわ」


バイト終わりの空腹と、この寒さがより一層美味しさを際立たせて駅に着くまでの数分間でペロリだった。

蜜璃ちゃんと別れて、電車に揺られながら最近ハマっている曲を聞いていれば最寄りの駅に到着。


イヤホンから流れるゆったりとして、どこか優しい雰囲気の片想いソング。恋してるわけじゃないけど、たまにこういうのも聞きたくなるじゃないか。

誰に共感を求めているんだ、と自分自身にツッコミながら歩けばマンションに到着。

一気に疲れが押し寄せた私は、ちゃちゃっとご飯とお風呂を済ませてベッドに。


…ハンドクリーム、嬉しかったなあ。


そう思い頭に浮かんだ先輩の笑った顔。大学で会えたらまたお礼言おうと、うとうとしながら考えていた私はいつの間にか眠りについていた。

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