ホイップ増量で。【不死川実弥】

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ただただ、苦しい毎日だった。


クリスマスが終わり、年末年始が間近に迫るということで大学もなく、久しぶりに帰省したが私の気持ちが晴れることはなかった。先輩から貰ったイルカのぬいぐるみを抱きしめて、滲んだ目元を拭う、それしかしていない。

明らかに様子の可笑しい私を見て、お兄ちゃんはアタフタと慌てふためいていたが、相手にする気にもなれず無視を突き通した。

11月29日。やっぱり変わらないトーク画面。彼から貰ったマフラーは1度も着けられないまま年が明けた。バイトもあるため、割と早くに一人暮らしの我が家に帰った。


…今日は、木曜日だった。


そして私もシフトが入っていた。先輩は来るだろうか。先輩も帰省しているかもしれない、でももしかしたら。期待ばかりが馬鹿みたいに降り積もり、カランコロンとなる度に顔を上げては、ぎゅっと締め付ける胸の痛みに苦しんだ。





21時半のラストオーダー、先輩の姿はなかった。





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もどかしさ、それから不安が居座り悲痛な叫びを出し続ける胸の奥。冬休みが明けて楽しそうに帰省した時のことや、お年玉事情を探り合う友達に相槌を打ちながら、不死川先輩のことを無意識に探した。

でもそう簡単に物事が運ばれることはなく、先輩とすれ違うこともないまま、気づけばクリスマスのあの日から大分日にちが刻まれた。このまま、もう話せないんじゃないかと嫌なことばかりが頭を横切り、その度に溢れ出しそうな涙を堪えた。



＿＿＿＿＿そんな時だった。



次の週の木曜日のラストオーダー、鼻を赤く染めて、あのマフラーをつける不死川先輩がカランコロンとベルを鳴らして、「…待ってる」とそれだけ告げた。

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