ホイップ増量で。【不死川実弥】

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「テキストの107ページ開いて」




…やばいやばいっ。


本日は木曜日、18時からシフトが入っている日だ。先生は今日は珍しくダラダラと授業を進めているせいで、もう講義が終わって5分も経過している。

次の電車に乗れないとバイトに間に合わない。冷や汗が出て、心臓がバクバクしている。


夢を見た日からもう次の木曜日になった。土日はバイトと、この前言っていた蜜璃ちゃんとパンケーキに行った。

月、火はレポートに追われて、水曜日は元々全休だしレポートも終わったのでぐっすり眠った。

そして今日、イライラしながら授業が終わるのを今か今かと待てばようやく終わった！

腕時計を見れば電車まであと7分。私の大学は割と好立地で、走れば駅まで3分程だ。



「ごめん先行くね！」



大丈夫だよ、と送り出してくれた友達を後にして私は走る。間に合う…！と思ったのも束の間で、物事というのはそう上手くはいかない。



「…っ、ご、ごめんなさい！」



教室を出る学生で賑わう廊下。慌てている私は思いっきり目の前の男子学生にぶつかってしまった。それどころから、ぶつかった拍子にトートバッグの中身が出るという。

謝りながら、中身を必死にしまって私は走った。わかってる、ちゃんと謝らないのって人としてどうなのって思うけど焦って冷静な判断ができなかった。

なんて、ギリギリ間に合った電車の窓から外を眺めながら反省した。

ぶつかってしまった相手の顔がわからないから、どうこうできる訳ではないけど、もし会えたらきちんと謝ろうと思った。



「…あれ、ない、嘘」



手が乾燥していたので、ハンドクリームを塗ろうとバッグを探すもどこにもない。目で確認してもない。



…中身が出た時だと私は思った。



バチが当たったんだ、と私はため息をこぼした。あれ、いい匂いでお気に入りだったのにな。しかもちょっとお高い奴だし。

これは大分ショック、でも自分が悪い、とぐるぐる考えながらバイト先に無事到着した。

事務所に行けば、先に来ていた蜜璃ちゃんがおはようと笑ってくれた。天使みたい…！

本当に天使みたいな蜜璃ちゃんにさっきの話をして、慰めてもらいながら着替えてタイムカードを切った。



「バイトが終わったらコンビニに寄って美味しいもの食べて今日のことは忘れましょ！」



笑いながらガッツポーズをする蜜璃ちゃん。私何でも頑張れそう、と思いながらありがとう、と笑った。

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