ホイップ増量で。【不死川実弥】

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最寄り駅に到着した私たちは、近くのスーパーへ。そこでは今日の寒さの影響だろうか、鍋の材料や素なんかが陳列されたコーナーが入り口近くに用意されていた。


キムチ鍋、寄せ鍋、塩ちゃんこ、豆乳、トマトチーズなどなど、メジャーなものから少し珍しいものまで様々な種類が並べられていた。先輩が手にとってよく見ていたのはトマトチーズ鍋の素。どこかキラキラと小さな星が浮かぶその瞳。これにするか、と聞いたところできっと彼は首を縦に振らないだろうな。



「トマトチーズ鍋、美味しそうですね」
「んじゃこれにするかァ」



にんまり、と口が弧の字を描いて目尻も細くなる。追いトマトするか、と野菜コーナーに一直線の後ろ姿にはお尻から薄く揺れる尻尾が見える気がする。トマトやブロッコリー、ソーセージにチーズ、パスタと各々が鍋に合いそうな食材をカゴに入れる。勿論、カゴを持つのは先輩だった。



「木下も好きなの入れろォ」
「いや、私はいいです」



最後に見たのはチューハイやビールがあるアルコールのエリア。彼は迷うことなく乱雑に甘いお酒の缶をカゴに入れながら私に言った。



「……送ってくから気にすんな」
「あ、私まだ18なので」
「は、……あ、そうだ」



目をパチクリさせながらまだ18かァ、としみじみと呟く彼はなんだかおじいちゃんみたいというか。



「……誕生日、いつだ」
「3月の20日です」
「んじゃ、20の誕生日に上手い酒、呑ませてやるよ。」
「…ありがとうございます」



さらっとそんな約束をこじつけて、小さく笑う綺麗な横顔。当たり前のように未来の話をする。先輩の遠くない未来には何の迷いもなく私が映っている。

ジュースも買ってくか、と歩いていく背中を見ていれば、言葉では言いようのない想いというのがいつものように込み上げてくる。見失わぬようついて行けば、ミルクティーやらオレンジジュース、いちごミルクやらを次々入れる彼。

本当に甘いの好きなんだな、ってクスッと笑ってしまってそれを見た彼がおィ、と言った。楽しくてさらに笑ってしまえば、私に釣られて先輩も笑った。

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