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「もう着いちゃいました、いい加減受け取って下さい」
「……いらん。」
マンションの下に到着した私たち。でも一歩も引かず、頑なに受け取らない不死川先輩。私たちを見てケラケラと笑う宇髄先輩。
「不死川が頑固親父に見える」
「あァ?」
ほら、ともう1つのヘルメットを投げ渡した宇髄先輩に誰が頑固親父だ、と睨みつける不死川先輩はヘルメットをつけた。
「……てか、不死川誕生日じゃね?」
「あ、そういや」
ポケットからスマホを取り出して日付を確認した不死川先輩。私も釣られて自分のスマホを見た。
_____…11月29日、午前2時44分。
「おめでとう、ございます…!」
こんな淡白な誕生日あるのかと思うが、彼の生まれた日に顔を見れるなんて私はついてる気がする。
「…おォ」
「やっぱり受け取って下さい、お誕生日ですし」
照れていた彼だったけど、ここぞとばかりの私に忘れてると思ったのによォ、とため息を1つ。
「……もう十分だ、ありがとなァ。」
……私の頭に手のひらを乗せて、私の顔の位置まで長い足を折り曲げて、ありがとうと笑う。
_____私の好きな、彼の優しい笑顔だった。
んじゃ、と頭に乗せていた手をひらひらさせながら宇髄先輩の後ろへ。
「……んだよ。」
「し、不死川のえっち」
宇髄先輩は手を胸の前で組んできゃあきゃあと、まるで女の子のように叫んでいる。
「失せろォ」
「今日は飲みまくるぞ不死川」
「んな飲まねェよ」
ぶんぶん、とアクセルを吹かしながら蛇行するバイク。Aちゃんまたな、と宇髄先輩の声が響くもいつしか闇夜に溶けていった。
最後にもう1度、私に振り向いた不死川先輩。暗くて顔は見えなくて、挙げられた手しかわからなかったけど、きっと、きっとね。
_____彼は笑ってくれてる。
…こんなにも苦しくて息が詰まるのに、嫌じゃなくて、泣きたくなるぐらい彼が好きだ。
木下A、18歳、人生で2度目の恋の幕開けとなりました。
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三月の専属ストーカーなつめみく - 宇随さんの小説でホイップ増量でェってセリフがリンクになってたから飛んでみたらいきなりさねみんがホイップ増量でェとか言ってて吹いた。 (10月25日 16時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - にじさん» にじさん初めまして、コメントありがとうございます!実弥さんらしさがなかったら…と不安でしたし、皆さんが想像しやすいように描写の方も力を入れているのでそう言って頂けて嬉しいです、ありがとうございます( ; ; )今後も頑張りますのでよろしくお願いします…! (2021年2月21日 23時) (レス) id: e728655408 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - コメント失礼します。蓮さんが書く実弥さんとても好きです…。こんな恋がしてみたい!ときゅんきゅんしてます…!描写も一つ一つが丁寧でとっても素敵で…これからもコッソリと更新を楽しみにさせて頂きますね。 (2021年2月21日 17時) (レス) id: 7dcf5a18d1 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - パチ麻呂さん» パチ麻呂さん初めまして、コメントありがとうございます!実弥さんとの恋を楽しんで頂いてるみたいで私も嬉しい限りです!労いのお言葉までありがとうございます…!甘くしていけるよう努力してまいりますので今後もお付き合い頂ければ幸いです。よろしくお願いします! (2021年2月19日 22時) (レス) id: e728655408 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - コメント失礼します。文章1つ1つが可愛らしいというか、恋してる気持ちになれて堪りません( ; ; )スマホ片手にジタバタしちゃうくらいキュンキュンします。これからも楽しみにしています。お体に気をつけて蓮さんのペースで更新頑張ってください! (2021年2月19日 5時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蓮 | 作成日時:2021年1月26日 21時