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「どうしたんですか、こんなところで」
「…家の鍵失くしてよォ」
「え…!?どこかで落としたんですか?」
「わかんねェ」
そう笑うもどこか上の空な先輩。管理会社の方に連絡すれば、明日にならないと鍵の交換などもできないと。
「このあとどうするんですか?」
変な意味はなく単純に疑問に思った。24時間のコンビニと言えど一晩中いるわけにもいかないし、私たちの最寄り駅にホテルなんてないし、野宿なんて寒すぎて危険だ。
「
「よかった…!」
2時まであいつバイトだけどな、とどこか遠くを見て不死川先輩は言った。鍵がないから先に宇髄先輩の家に行くことも無理だと言う彼。
……2時まであとおよそ2時間半。
なんだかこのまま先輩を置いて帰るのはなんだか出来なくて、でもだからといって私の部屋はいろいろアウトな気がするし。んー、と考えていればぎゅうぐるぐる、と空気を読まずに鳴るお腹。咄嗟に押さえるも盛大なその音は当然先輩の耳にも入る。
「おらさっさと帰れェ、俺は大丈夫だから」
眉を少し下げて、私を安心させるように笑ってくれた先輩。自分の方が大変なのに変に気を遣わせてしまって不甲斐ない。でも、と言いかければまた盛大に鳴るお腹。本当にいいから、とクツクツ笑う先輩。
「…なんかすみません」
失礼します、と頭を下げれば手の平をひらひらさせて小さく笑った先輩。背中を向けて出口へ向かう。自動ドアが開いて外の冷えた空気が頬を撫でた。
……星も月も見えないどこか寂しくて冷たい暗い夜。
その時、ふと思い出した今朝の占い。魚座の私の今日の運勢は1位だった。そして一言アドバイスには困ってる人を見かけたら助けましょう、貴方の運気もアップ…と、……自然と動く足は外じゃなくて彼のいるイートインスペースで、驚く彼が目の前にいる。
私を突き動かしたのはきっと占いのせい。
______ううん、違うこれは。
「…何やってんだァ」
「………ご飯、行きませんか…っ。」
「………は?」
…午後23時17分。再び高鳴り始めた心臓を相棒に、目をパチクリさせる彼の手を引いた。
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三月の専属ストーカーなつめみく - 宇随さんの小説でホイップ増量でェってセリフがリンクになってたから飛んでみたらいきなりさねみんがホイップ増量でェとか言ってて吹いた。 (10月25日 16時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - にじさん» にじさん初めまして、コメントありがとうございます!実弥さんらしさがなかったら…と不安でしたし、皆さんが想像しやすいように描写の方も力を入れているのでそう言って頂けて嬉しいです、ありがとうございます( ; ; )今後も頑張りますのでよろしくお願いします…! (2021年2月21日 23時) (レス) id: e728655408 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - コメント失礼します。蓮さんが書く実弥さんとても好きです…。こんな恋がしてみたい!ときゅんきゅんしてます…!描写も一つ一つが丁寧でとっても素敵で…これからもコッソリと更新を楽しみにさせて頂きますね。 (2021年2月21日 17時) (レス) id: 7dcf5a18d1 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - パチ麻呂さん» パチ麻呂さん初めまして、コメントありがとうございます!実弥さんとの恋を楽しんで頂いてるみたいで私も嬉しい限りです!労いのお言葉までありがとうございます…!甘くしていけるよう努力してまいりますので今後もお付き合い頂ければ幸いです。よろしくお願いします! (2021年2月19日 22時) (レス) id: e728655408 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - コメント失礼します。文章1つ1つが可愛らしいというか、恋してる気持ちになれて堪りません( ; ; )スマホ片手にジタバタしちゃうくらいキュンキュンします。これからも楽しみにしています。お体に気をつけて蓮さんのペースで更新頑張ってください! (2021年2月19日 5時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蓮 | 作成日時:2021年1月26日 21時