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「隈、どうした」
「あー、ははは」
目の下にこびり付くような隈を見る宇髄先輩。誤魔化すように笑うしかなかった。
…昨日、結局あまり眠ることが出来なかった。
3限からの月曜日だと言うのに眠れない私は、1限から登校しレポートに取り組んでいた。そこにたまたま居合わせた宇髄先輩。変な奴みたいなジトーっとした目の彼。何だか昨日の写真と似てる気がする。ケータイを取り出し、不死川先輩のアイコンと照らし合わせれば瓜二つ。
「なんだ?」
「…似てる」
「当たり前だろ、それ俺だもん」
自分を指差してドヤ顔を決める宇髄先輩。だからか、と納得した私に、不死川の連絡先じゃん、と微かにニヤつく先輩。
「…昨日、たまたま会って」
「へぇ」
Aちゃんさ、と急に私の肩をその大きな腕で抱き寄せた宇髄先輩。周りに人はいないがこれは心臓に悪い。
「不死川なんてどう?俺の一推し」
「いや、そのあの」
不死川先輩に負けず劣らず整った端正な顔立ちの彼。目と鼻の先にいる宇髄先輩。話すたびに漏れる吐息が頬を撫でるたび、私の心臓は破裂しそうなぐらい勢いよく脈打つ。高2のあの彼から恋という恋をしてない私。恋愛経験が豊富な訳がなく、どうすれば良いのかわからない私は鯉のように口をパクパクさせることしかできなかった。
…でもそんな私に救世主。
「お、不死川はよ」
「…なにやってんだァ」
目を大きく見開いて驚く不死川先輩の姿がそこに。彼は密着した私たちを見た途端、宇髄先輩を引き剥がしてくれた。
「余裕のない男はどうかと思うぞ不死川」
「るせェ」
熱くなった身体を落ち着かせるため、大きく深呼吸する私の耳に響く2人の会話。馬鹿な私でも、恋愛経験のない私でも、疎い私でも意識してしまう内容だった。
「不死川のアイコンの相手が俺だって話してただけだぜ、俺ら」
な?と私にアイコンタクトをとる宇髄先輩。落ち着かず上手く喋れない私は必死に首を縦に振ることしか出来なかった。そんな私と宇髄先輩を交互に見て、1つため息を零す不死川先輩。すると彼は私の隣に来て、スマホの写真ホルダから例の写真を見せてきた。
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三月の専属ストーカーなつめみく - 宇随さんの小説でホイップ増量でェってセリフがリンクになってたから飛んでみたらいきなりさねみんがホイップ増量でェとか言ってて吹いた。 (10月25日 16時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - にじさん» にじさん初めまして、コメントありがとうございます!実弥さんらしさがなかったら…と不安でしたし、皆さんが想像しやすいように描写の方も力を入れているのでそう言って頂けて嬉しいです、ありがとうございます( ; ; )今後も頑張りますのでよろしくお願いします…! (2021年2月21日 23時) (レス) id: e728655408 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - コメント失礼します。蓮さんが書く実弥さんとても好きです…。こんな恋がしてみたい!ときゅんきゅんしてます…!描写も一つ一つが丁寧でとっても素敵で…これからもコッソリと更新を楽しみにさせて頂きますね。 (2021年2月21日 17時) (レス) id: 7dcf5a18d1 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - パチ麻呂さん» パチ麻呂さん初めまして、コメントありがとうございます!実弥さんとの恋を楽しんで頂いてるみたいで私も嬉しい限りです!労いのお言葉までありがとうございます…!甘くしていけるよう努力してまいりますので今後もお付き合い頂ければ幸いです。よろしくお願いします! (2021年2月19日 22時) (レス) id: e728655408 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - コメント失礼します。文章1つ1つが可愛らしいというか、恋してる気持ちになれて堪りません( ; ; )スマホ片手にジタバタしちゃうくらいキュンキュンします。これからも楽しみにしています。お体に気をつけて蓮さんのペースで更新頑張ってください! (2021年2月19日 5時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蓮 | 作成日時:2021年1月26日 21時