すのーまんと、わたし (ページ23)

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○ ページ23

ちょっと俺トイレ～、とみんなに声をかけ、輪を抜ける。

そういえば俺、ひとりでトイレ行けるようになったのいつからだっけなー、なんて考えながらレッスン室のドアを開けた。

……つもりだった。

深「っと、あーごめんごめん大丈夫？」

半開きのそのドアは、誰かに当たってしまったようだ。

すみませんすみませんと、向こう側から声がする。

深「いや、俺こそごめん。怪我してない？大丈夫？」

声が高めだったから、てっきり小さい子だと思って下げていた目線の先には、顔は見えなくて。

あぁそうだ、女の子入ってきたんだったと思い出し、目線を上げる。

と、そこにはさっき俺らが教えていたあの涙目の子がいた。

あ…

と、お互いの時がすこし止まったのがわかった。

深「あーっ、と…」

「先程は、ありがとうございました！」

なんて、2人に急に頭を下げられた。

困っちゃうなあ

深「いや、こちらこそ。初めてだったのによくがんばったね」

と言うと、2人は顔を上げてにっこりと笑った。

あら、かわいいじゃない。

…一瞬顔を出したお丸には帰ってもらう。

さっきのレッスンで、彼女たちに俺らはどう写っただろうか。

深「佐久間、ってさ、」

ぽつりと声を出す。

深「熱い奴だからああやってみんなに厳しくなったりするけど、ほんと良い奴だから。」

だから、怖がらないでやって、と告げた。

「もちろんです」

黒「これからもよろしくお願いします」

そう言った女の子の目は、まっすぐだった。

深「ありがとうね」

……あー、そういや俺トイレ行きたいんだったわ

じゃ、またねと声をかけて立ち去った。

あの子たちの目と言葉、ちょっと嬉しかったな。

なんて思っていると、顔が緩む。

ニヤつきながらトイレに入るやばい奴にはなりたくなくて、口元を必死に手で隠した。