すのーまんと、わたし (ページ22)

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シャワー室からの帰り、結衣ちゃんと自販機に寄った。

2人で水を買い、近くの椅子に座り飲む。

黒「んーっ、シャワー上がりのお水うまぁ」

シャワーのお湯とともに涙もさっぱり流してきた結衣ちゃんが、ぷはっ、と笑顔で言った。

「にしても今日はキツかったね、いつもに増してキツかった！」

お互いにまだ少し濡れている髪を拭きながら、今日のことを話し始める。

黒「それな～、たぶんうちらじゃなかったら辞めてたと思う。笑」

わかる、と冗談を交えつつ、お互いを労った。

ふと、どこかで音楽が聞こえたような気がした。

黒「ん？」

それは彼女も聞き取っていたようだ。

「結衣ちゃんも、聞こえる？」

そう小声で問うと、彼女は頷いた。

どこからだろう、と、2人は徐に歩き出す。

音を頼りに歩いていくと、それはレッスン室から聞こえるようだった。

黒「誰だろうね」

「曲だけじゃわかんないね」

扉に耳を当てながら、小声で会話をする。

すると、音楽が止まり中から誰かの声が聞こえた。

「ねー！阿部かたいー！」

「えごめん」

「やめてあげて！岩本くん！彼は一生懸命頑張ってるの！これが限界なの！」

「ほーらー！阿部ちゃん泣いちゃったじゃん！」

「これで涙拭いて」

「いや泣いてはねえよ」

「そこは泣けよ」

「だっははァッ！！」

中で手を叩いて笑っている声がする。

「な、なんか楽しそうだね…」

黒「そうだね…」

と、顔を見合わせ笑った。

にしてもあんな変な笑い方する人もいるんだな、なんて思っていると、

足音がこちらに近づいてきた。

やば！と思ったものの、隠れられそうな所もない。

とりあえず2人でたまたま通ったフリをした。