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お願い ページ46

『さて、帰るか』


帰寮したら、幸くんとドレスの最終合わせをする約束だ。早く帰らないと。

万里は宣言通り、私が出かける時はいつも付き添ってくれている。
今日も学校まで送ってくれて、迎えも来てくれる。


『おわ、もう着いてんのか』


LIMEの通知を確認すると、万里から既に到着しているとの連絡が入っていた。
今生徒会室だから、少し待ってくれと返信しておく。

鞄を掴んで、生徒会室を出ようと扉に手をかける。
瞬間、その扉が勝手に開いた。


『っと、響くん』

「ごめん、驚かせたね」


タイミングよく、廊下側から響くんが開けたようだ。
私達3年生組は、グループに分かれてゲネの様子を見守っていた。
私は体育館、響くんは校舎の本館担当だったかな。


『本館ももう終わり?』

「うん、これから体育館で最終打ち合わせだって」


実は、一連の騒動が始まってから響くんとまともに話すのはこれが初めてだ。
ここまでの様子を見るに、今までと変わりはなさげ。


『(瞬くんには仕掛けたし、こっちも探っとくべきかな)』

「そうだ、Aさん」


どう動くか、と考えていると響くんから切り出される。


「満開祭、出るんだって?」

『一応ね。ミスコン、何人かから推薦されて』

「僕も、ミスターコン出ることになっちゃったよ」

『ミスター出場は3人だけだったね。響くんなら勝てるよ』

「…Aさん」

『ん?』

「えっと…ちょっと、話したいことがあって」


…向こうから来たか。
珍しく歯切れの悪い響くんの、次の言葉を待つ。


「僕がミスターコンで優勝したら、1つお願いを聞いてほしいんだ」

『…聞けば、いいの?』

「いいよ。叶えてくれるかどうかは、聞いてから決めて」


そういうことなら、こちらに不利な部分はない。
ミスターコンで優勝したら、ってのが気にはなるけれど。


『わかった』

「!ありがとう。引き留めてごめんね、迎えが来てるんじゃない?」

『あれ、よく知ってるね』

「学校へ来る時、Aさんと摂津くんが歩いてるのを見かけて…最近、Aさんの周りがちょっと変でしょう。送り迎えしてるのかなって」

『響くんも気付いてたか』

「心配だけど、Aさんが気にしてなさそうだからそのままにしてたんだ」


これは、どっちだろう。
自分が仕掛けたことを白々しく言っているのか、
彼は本当に関係がなくて、私を心配しているのか。


「何かあれば、僕にも相談してね」

『ありがとう。じゃ、私はこれで』

「お疲れ様」

彼は負けず嫌い→←仕掛け



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わず - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2019年9月10日 14時) (レス) id: 1511d926d3 (このIDを非表示/違反報告)
rena(プロフ) - 更新待ってます (2018年8月30日 2時) (レス) id: 8104f6caff (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - すごく面白くていつも楽しみにしています!更新応援してます! (2017年9月6日 8時) (レス) id: a8b7ed9872 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり。 - とてもとても面白くて、何回もみています!ゆっくりことこととお待ちしております。 (2017年8月5日 19時) (レス) id: 392125dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - 最高でした♪ 続き、楽しみにしてます! (2017年7月4日 23時) (レス) id: c79b5cac48 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:群青 | 作成日時:2017年6月14日 9時

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