【A3!】彼女の攻略、ハードモード 2nd【摂津万里】

仕掛け ページ45

ASIDE

「おっけー、こっちの設営終わりでーす」

「音響も問題ないぞ」


本日、満開祭前日の土曜日。
早いもので、満開祭はもう明日だ。

あれから新たな情報が入ることはなく、登校日も問題なく終了。
私の周囲の様子は相変わらずだった。


「イルミネーションも8割方付け終わったらしいです」

「片付けと最終打ち合わせしたら終わりかな」


なお、先日天馬くんと万里と撮影した雑誌は、今日発売されている。
役員達は満開祭ゲネで忙しいから、まだ雑誌のことは知らないだろう。

MANKAI寮では朝から大騒ぎであった。
特に一成くんとか太一くんとか、朝イチでコンビニ行って買って来てたからね。

ちなみに、仕上がりは上々。
表紙も天馬くんとの取材と撮影も、万里との急なバレンタインショットも、皆から褒めてもらえた。


『それじゃ、私はこれで失礼するね』

「あ、Aさん、お疲れ様でした！」

「今日はわざわざ来てくださって、助かりました」

『いえいえ。私が出る幕もなかったね』


明日も頑張って、と声をかけて、私は荷物を回収するため生徒会室に向かった。

役員の子達は、やはり私を遠巻きにしている子が多い。
ただ、一部の子達は他の子の様子を伺いつつ、私が話しかけると明るく答えてくれた。


『(今までの私を信用してくれてる人もいる、ってことかな)』


私への実害はないに等しいし、万里や劇団の皆がわかってくれてればいいと思っていたけど、こうして信じようとしてくれてる子がいるのはやっぱり嬉しい。

決戦は、明日。

ミスコンの出場者は、先日の登校日に発表された。

私が出ることは、生徒は皆知っている。
裏サイトでもそれなりに話題になっているようで、注目度は高いと言えるだろう。


「Aさん」

『…瞬くん』


階段の踊り場。下から次期生徒会長に呼び止められる。
佐古に聞いた話と、送ってもらったトゥイッターの呟きが脳裏に過った。


「明日、出るんですよね」

『うん。出るよ』

「ダンスは、副会長と？」

『さぁ、どうだろう』


瞬くんの顔は至って冷静、穏やかなものだ。
佐古の言う通りだな。妙に、引っ掛かる。


『…瞬くん、一応言っておくね』


ちょっと、仕掛けてみるか。


『私、響くんのことは好きでも何でもないよ。仕事で頼れる相棒だと思ってる』

「…」


僅かに、瞬くんの表情が変わった気がした。


『それに、他に好きな人がいるから』

「…へぇ、それは知りませんでした」

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