皆で ページ5
「ん〜っ、美味しい！」
『幸せですね〜』
幸福感に満たされながら、私達は遅めの昼食を摂っていた。
ここは、パンケーキやサンドイッチなど、軽食とデザートを置いているカフェだ。
なお、甘い物が苦手な万里は、野菜やチキンが挟んであるベーグルを注文していた。
「目当てのものは全部買えたかしらね」
『そうですね』
「それじゃ、食べ終えたら帰る……あ、コンタクト忘れてた」
志帆さんは、ついでに薬局とスーパーで色々見てくるから、と購入品を全て私達に預けて店を出て行った。
ここのお代をサラッと払われてしまった。私としたことが、不覚である。
『…さて』
「俺らも行くか」
『あいあいさー』
手早く荷物を抱えて、私と万里は店を後にした。
＊
「へえ、新しいの出てんじゃん」
『お、やってみようよ』
ロッカーに大量の荷物を預けて、私達がやって来たのは…
そう、ゲーセンである！
「これ、面白いな」
『いつものゲーセンにも入ってるかな？』
「さあな。学校始まったら行ってみようぜ」
そこまで言って、万里はふと気づいたように考え込む素振りを見せた。
『どした、万里』
「あー、いや…俺と咲也と真澄、大抵一緒に下校すんだろ」
『あぁ、そうだね』
万里が学校に来る時間はマチマチだから、登校は別。下校時は、3人一緒に帰っている様子を私もよく見かけた。
『咲也くんが万里迎えに来た時とか、最初は皆ざわついてたな』
「仲良くするタイプには見えねえだろうからな」
『で、それが何？』
「…これからはそこに、Aも加えていいものかと思ってよ」
『成程、そういうことか』
学校での私は、優等生で通っている。生徒会長という立場もあるし、学校では万里と馴れ合わないようにしていた。
というか、私は気にしないんだけど、万里がそのほうがいいだろって。
『別に良くない？いっそこれをきっかけに暴露とか』
「お前の本性も？」
『それは…廃人ゲーマーってのは伏せておく方向で』
万里に対する接し方とか、喋り方はいつもみたいにすればいいと思うのだ。咲也くんや真澄くんともね。
そして、何より。
『私も皆で登下校したい』
「そっちが本音か」
『てへぺろ』
ニッと笑って見せれば、万里も同様に返してくれた。
『そもそも、万里の存在程度で崩れる人望は築いてないから』
「へーへー、皆の人気者のAちゃんはさすが、格がちげーな」
『えっ、Aちゃんとか…気持ち悪…』
「お前な！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 852人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わず - すごく面白いです！更新楽しみにしてます！ (2019年9月10日 14時) (
レス) id: 1511d926d3 (このIDを非表示/違反報告)
rena(プロフ) - 更新待ってます (2018年8月30日 2時) (レス) id: 8104f6caff (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - すごく面白くていつも楽しみにしています！更新応援してます！ (2017年9月6日 8時) (レス) id: a8b7ed9872 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり。 - とてもとても面白くて、何回もみています！ゆっくりことこととお待ちしております。 (2017年8月5日 19時) (レス) id: 392125dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - 最高でした♪ 続き、楽しみにしてます！ (2017年7月4日 23時) (レス) id: c79b5cac48 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：群青 | 作成日時：2017年6月14日 9時
