ブチ切れ ページ37
「え、何なに?」
「…厄介事?」
『残念ながら、正解。天馬くん』
「俺?」
ソファに座っている天馬くんに、斜め後ろから話しかける。この様子だと、まだ話は来てないな。
皇事務所と言ったら、業界随一の大手事務所だ。タレントに関する情報もかなり網羅しているはず。
…今回はまだ規模が小さいから、すり抜けても仕方ないか。だからこそ、大きくなる前に止めないと。
『ごめん、めちゃくちゃ巻き込んでしまった』
「いや、謝られる覚えがない。何の話だ」
『でもどうせだ。もっと巻き込まれてもらうよ』
「だから何の話だ」
「Aちゃん…?」
『うちの学校の裏サイトで、天馬くんと私の写真が挙がってる。目元とか隠されてるし天馬くんは変装してたけど、ほぼ特定されてる』
「えっ!?」
「裏サイト!?」
「…いつのだ」
はは、さすが芸能人の息子。自分も俳優歴長いしな、勘がいい。
『投稿は昨日。写真は夏組と私で、ドレス関連の買い出し行った時の。石を選んでくれたでしょう』
「あれか……」
「どういうこと?隠し撮り!?」
『皆にも把握してもらうべきだと思う。説明するから、聞いて』
「待って、それなら劇団員みんな集めよう」
「そうだな。監督は春組を頼む。俺は他の秋組呼んでくる」
「俺、2階行ってくるよ!」
「僕も行くよ。紬と密はなかなか起きないだろうから」
「天馬、事務所と連絡取っとけ。俺はノーパソ持ってくる」
「井川に今LIME送った。ここに来るように言ってある」
バタバタと慌ただしく皆が動く。
あぁ、本当に、ここは良い人達ばかり。
不意に、手を握られる。誰かなんて見なくてもわかった。
「A」
『…大丈夫だよ、万里。私今ね、』
手を緩く握り返す。
『黒幕に、めちゃくちゃ腹が立ってんの』
「…お前がブチ切れてっから、俺がこうして横にいんだよ」
『はは、そっちかぁ』
全く、こちらが大人しく静観していれば、調子に乗りやがって。
「(黒幕、終わったな…)」
「(ば、万里さん、何かAの雰囲気違くねーか)」
「(天馬、よく見とけよ。こいつ怒らせたら地獄だぞ)」
『徹底的に、潰す』
「ヒエッ」
「ぶはっ」
「わ、笑うなよ万里さん!」
「や、悪ぃ、つい」
『ごめんごめん、天馬くんをビビらせるつもりは』
「び、ビビってねえ!」
「くくっ、天馬まじ弄り甲斐あるよな…」
うん、天馬くん弄ってたらちょっと落ち着いたかも。
「何で俺が弄られ役なんだ!納得いかねー!」
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わず - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2019年9月10日 14時) (レス) id: 1511d926d3 (このIDを非表示/違反報告)
rena(プロフ) - 更新待ってます (2018年8月30日 2時) (レス) id: 8104f6caff (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - すごく面白くていつも楽しみにしています!更新応援してます! (2017年9月6日 8時) (レス) id: a8b7ed9872 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり。 - とてもとても面白くて、何回もみています!ゆっくりことこととお待ちしております。 (2017年8月5日 19時) (レス) id: 392125dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - 最高でした♪ 続き、楽しみにしてます! (2017年7月4日 23時) (レス) id: c79b5cac48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:群青 | 作成日時:2017年6月14日 9時