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花の名前はわかっていた ページ34

いづみSIDE

『いづみさん!帰ってたんですね、おかえりなさい』

「Aちゃん、ただいま!ちょうど良かった、お風呂もう入った?」


帰寮して万里くんと別れ、部屋に向かう途中でAちゃんと鉢合わせる。

…さっきの万里くんの話を思い出して、何だか私が恥ずかしくなっちゃうな…。

そんな私の心情は知らず、Aちゃんはにっこり笑って答えた。


『まだです!いづみさんと入ろうと思って』

「待っててくれたの?ありがとう、今からどう?」

『いいですよ、着替え持ってきますね』

「良かった。お風呂場集合ね」

『はーい!』


.


「は〜気持ちい〜」

『劇団の手伝いはどうでしたか?』


手早く髪や体を洗い、浴槽につかって手足を伸ばすと気持ちまでほぐれる気がする。

今日手伝った公演は大道具が多くて、準備や片付けも結構重労働だったから大変だった。


「疲れたけど、有意義だったよ。公演も素敵で」

『純愛がテーマの公演でしたっけ。そういえば私、ストリートアクトしたんですよ』

「えっ、Aちゃんが!?」

『はい。紬さん、丞さん、左京さんと』


それはまた、初めてのストリートアクトにしてはかなり厳しい…逆にやりやすい…?


「Aちゃんの演技、私も見てみたいな。後で紬さん達に、ストリートアクトのこと聞いてみよ」

『やってみたら楽しかったですよ。でも緊張するし疲れるし、皆は凄いなって』


ちゃぷちゃぷと浴槽のお湯を両手で遊ばせながら、Aちゃんはしみじみと言った。


「…Aちゃん、花は咲いた?」

『!やっぱ、いづみさんはすぐ気付くかぁ』


ぱちゃん、とAちゃんが姿勢を正す。正面から私を見据えて、恥ずかしそうに口を開いた。


『今日、万里の話をたくさんしたり聞いたりしたんです』


Aちゃんの頬が、少し赤い。


『さっき万里から電話があって…言われたことが予想外というか、…不意打ち、食らって』


打ち上げの時の電話かな?
Aちゃんの頬の赤みが増したのは、気の所為だろうか。


『それで、分かりました』


いや、と彼女は首を振った。


『本当は前から分かってた』


綺麗だなぁと思った。純粋に。


『咲きましたよ、満開に。恋の、花でした』

「…そっか」


この2人は、お互いのことが心から好きで。
それが周りには痛いほどわかるのに。


「本人達は、マイペースなんだもんなぁ」

『?』

「こっちの話〜」


もう少し、見守っててあげようかな。

一矢どころではない→←砂糖吐け



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わず - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2019年9月10日 14時) (レス) id: 1511d926d3 (このIDを非表示/違反報告)
rena(プロフ) - 更新待ってます (2018年8月30日 2時) (レス) id: 8104f6caff (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - すごく面白くていつも楽しみにしています!更新応援してます! (2017年9月6日 8時) (レス) id: a8b7ed9872 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり。 - とてもとても面白くて、何回もみています!ゆっくりことこととお待ちしております。 (2017年8月5日 19時) (レス) id: 392125dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - 最高でした♪ 続き、楽しみにしてます! (2017年7月4日 23時) (レス) id: c79b5cac48 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:群青 | 作成日時:2017年6月14日 9時

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