異変 ページ19
おかしい。
何がおかしいかって?すべてだ。
いや、厳密にはどこがどうおかしいのか、自分でもよくわからない。
でも確かに、おかしい。変だ。
『木路さん。今ちょっといい?』
「ご、ごめんAちゃん!ちょっと急いでて」
『あ、全然。こっちこそごめんね』
どことなくよそよそしいクラスメイト。
視線を合わせないよう通り過ぎていく後輩。
どこかからヒソヒソと聞こえる話し声。
数日前からこんな調子だ。それも、毎日少しずつ悪化してる。
万里達が弁当を忘れ、至さんが届けに来てくれた日から、もうすぐ1か月。
少なくとも、万里らのことで騒がれる時期はとうに過ぎているはず。ならこの状況は…。
「お、A。次の授業なんだっけ?」
『万里…』
「ん?」
『…5限はロングホームルームだよ。満開祭のこととか含め、事務連絡かな』
いつも通りの万里の声に、一瞬、彼に相談してみようかという考えが頭をよぎる。
でも思い直して、今日の午前はサボり通しだった彼の問いに答えた。
別に、何か被害があったわけでもなし。
元々広く浅くを心がけて人間関係を築いているのだ。1人でいることも多いし、苦痛でもない。
この妙にざわつく視線やヒソヒソ声も、万里と話し始めるとそれが強まったのも、全部気の所為。少なくとも今は、それでいい。
「あー、だりーやつな。でも寝てられるし…単位稼いどくか」
『もうちょっと真面目に出席しなよー』
「そうは言っても、めんどいじゃん」
万里の正直な感想に苦笑しつつ、他愛のない会話をしていれば、心が落ち着いた。
うん、大丈夫。大丈夫だ。
―――――
万里SIDE
気に食わねえ。
何が気に食わねえか?んなもん、全てだろ。
数日前から、Aに対する周囲の様子が変だ。最初は、俺や真澄との関わりが知られた影響かと思っていたし、些細なものだった。
だが…。
「(日に日に悪化してやがる)」
いよいよAもおかしいと思い始めたのか、どことなく元気がない。
それでも俺や、誰かに相談しようというつもりはないらしい。
まあ、何か害があるわけじゃなさそうだし…Aとしては、そこまでダメージじゃないんだろう。
こいつが平気なら、それでいい。俺はいつも通り接するだけだ。
「(もし…これ以上悪化したら?)」
Aと他愛ない会話をしつつ教室に入ろうとすると、どこからか小さな声が聞こえた。
「…裏切り者の生徒会長」
…は?
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わず - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2019年9月10日 14時) (レス) id: 1511d926d3 (このIDを非表示/違反報告)
rena(プロフ) - 更新待ってます (2018年8月30日 2時) (レス) id: 8104f6caff (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - すごく面白くていつも楽しみにしています!更新応援してます! (2017年9月6日 8時) (レス) id: a8b7ed9872 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり。 - とてもとても面白くて、何回もみています!ゆっくりことこととお待ちしております。 (2017年8月5日 19時) (レス) id: 392125dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - 最高でした♪ 続き、楽しみにしてます! (2017年7月4日 23時) (レス) id: c79b5cac48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:群青 | 作成日時:2017年6月14日 9時