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大人の2人 ページ2

NO SIDE

「乾杯」

「…乾杯」


談話室のソファに腰掛けて、グラスをカツンと合わせてからその中身を口に含む。


「左京くん、楽しそうだったね」

「そうか?」

「Aにヘッドロックかけてる時なんか、輝いてたよ」

「それはそれでどうなんだ…」


2口目の酒を煽って、机にある簡単な肴ーーといってもバケットにトマトやチーズ、タコの刺身などを載せた[ブルスケッタ]というお洒落なバーメニューだがーーを1口齧った。

既に三角、密と共に眠りについたであろうAが、人生ゲームを終えて部屋に戻る前に出していったものだ。


「ん、美味しい。A、ほんとに手際いいよね」

「元々スキルが高い上に、努力を惜しまないからな。料理も色々本を読んで、勉強し直したらしい」

「頑張り屋さんだねぇ」


左京と東、MANKAIカンパニー最年長組である2人は、こうして1杯を共にすることが度々あった。

そこへ、Aが偶然お手洗いなどで降りてきた時は、今回のようにおつまみを作っていくのである。


「そうだ。Aに何かプレゼントしない?いつものおつまみのお礼に」

「いいんじゃないか。金は俺も出す」

「何がいいかなあ。アクセサリー?香水もいいね。化粧品は肌との相性があるし…」

「…内容は雪白に任せる」


次々と年頃の女子が喜びそうな候補を上げる東に、左京はお手上げだとでも言いたげに呟いた。


「だーめ。お礼なんだから、左京くんも考えてくれないと」

「…本関係」

「成程、2人は読書家仲間だったね。じゃあ、軽めの香水と…栞なんてどう?」

「異議なしだ」

「決まり。今度買いに行こうね」

「俺とお前でか?」

「当たり前でしょ?」

「……はぁ、分かった」


ため息を零し、左京はまた1口、グラスに口をつけた。


「左京くんも大概、Aに甘いよね」

「それは雪白もだろう」

「僕にとってはほら、皆可愛いから。左京くんは、秋組としてもってことでしょ?」

「あぁ…まあ、あいつらが上手く行けばいいとは思うが」

「ふふ、まるでお父さんみたいだね」

「……Aのならまだしも、摂津は嫌だぞ。あんなクソガキ」

「あらら、素直じゃないな〜。いや、ある意味素直?」


大人の2人の静かな時間。
ゆっくりと進むそれは、今暫く続く。

増えていく思い出→←人生ゲーム



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わず - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2019年9月10日 14時) (レス) id: 1511d926d3 (このIDを非表示/違反報告)
rena(プロフ) - 更新待ってます (2018年8月30日 2時) (レス) id: 8104f6caff (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - すごく面白くていつも楽しみにしています!更新応援してます! (2017年9月6日 8時) (レス) id: a8b7ed9872 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり。 - とてもとても面白くて、何回もみています!ゆっくりことこととお待ちしております。 (2017年8月5日 19時) (レス) id: 392125dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - 最高でした♪ 続き、楽しみにしてます! (2017年7月4日 23時) (レス) id: c79b5cac48 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:群青 | 作成日時:2017年6月14日 9時

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