デビューを迎えるその日まで 5

返却 ページ33

…



みんなが寝た後、自分の部屋で探し物をしていた



『無い、無いよ〜』



絶対シェアハウスに置いてきた【秘密のノート】が無くなってる



枕元に置いていたはずなのに消えて無くなっていた
部屋のあちこちを探しても見つからず、諦めて寝ようとした時



ｺﾝｺﾝ



『え、はい？』



返事をしたのに全く開く気配も無い扉



ｺﾝｺﾝ



『え、だから何· · ·』



怖いけど、このままだと寝れないから近くにあった雑誌を丸め扉に近づいた



ｶﾞﾁｬ


目をつぶったまま雑誌を振れば何度が当たる感覚と痛がる声




渡｢痛いって！｣


恐る恐る目を開ければ完全に不機嫌の翔太くん



『翔太· · ·くんか』



渡｢ノックしたじゃん｣


私から雑誌を奪い取りズカズカと部屋に入ってきた



『だったら入ってきてよ』



渡｢そんなことより、はいこれ｣



くるっと向きを変え私に何か差し出してきた
見覚えのあるノートに見覚えのある字体



『秘密のノート· · ·ってこれ！！』



渡｢返却に来ました。｣



『まさか、全部読んだとか言わないよね？』



この中にはかなり恥ずかしいことも書いてあるはず、そんなのをこの渡辺翔太に見られたら· · ·



渡｢バッチリ見たよ、佐久間はお茶系がダメだーとか照のカバンにはチョコレート必須ーとか｣



かなりイラッとさせる言い方に思いっきり睨めば面白そうに笑う翔太くん




『最悪じゃん· · ·明日から皆の笑い者だ』



ベッドにそのまま崩れ落ちれば翔太くんもベッドに腰をかけた




渡｢誰にも言ってないし、皆のことよく知ってんなーって褒めに来たんだけど｣



『え？』



翔太くんの綺麗な手が私の頭に置かれ優しく撫でられた



渡｢偉い偉い、よしよし｣



バカにしているようだけど顔は優しいから急に恥ずかしくなって枕に顔を隠した
そんな様子を見てか翔太くんはベッドから立ち上がった



渡｢じゃ、おやすみ｣



『翔太くん、ありがとう』




顔は見れなかったけどそれだけ伝えれば扉の閉まる音が聞こえた

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