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あっという間に時間は流れ、宿泊研修当日となった。
「A行ってらっしゃい!」
珍しく、今日と明日お母さんが休みのため、玄関でお見送りをしてくれる。
「うん、行ってきます!」
幼い感じでお母さんに手を振って家から出た。
「あ」
玄関から出ると、丁度隣で涼も出てきたっぽい。
涼と会ったと同時に顔が赤くなってくるのがわかる。
「おはよ、顔赤いね」
「あぁ、うん。ちょっと暑いからさ」
「そっか、一緒行こっか」
そう言って、二人で歩き始めた。
ヤバい、心臓持つかな…
「そう言えば、7月にあのゲームの続編出てくるって知ってる?」
「え、嘘!?初めて知ったんだけど〜!」
私と涼の趣味のゲームについて話していく。意外と話は途切れなく続いている。
「…でねでね、そのクエストが…」
喋っていると、涼の頭に何か違和感があった。
よくよく見ると、寝癖らしきものがあった。歩くたびにぴょんぴょんと動いていて可愛いと思ってしまったが、言わないわけにもいかない。
「涼…?」
「ん?」
名前を呼ぶと、首をかしげる涼。可愛すぎる…じゃなくて…!
「ね、寝癖ついてるよ…?」
私は寝癖がついてる方に指を差して言う。
涼は手ぐしで直そうとしているが、寝癖まで届いていなかった。
ずっと顔を見ていると、此方を向いて見つめてくる。きっと寝癖直っているか聞いているんだろう。私は首を横に振る。
すると、涼は顎に人指し指を当てて何やら考えている。
「だったら、Aが直してよ」
急に立ち止まって言うことに私は驚いてしまう。
「え、だって…え?」
「俺、前にAの寝癖直してあげたよね?」
「え"」
涼、そんなことまで覚えていたのか…
私は何も言い返せなくなったため、仕方なく、手ぐしで直してあげた。なんとか直ぐに直った。
「はい、終わったよ」
私はそう言って、逃げるように歩いていく。
後ろからは走ってついてくる音が聞こえた。
あぁ、早く学校について、このうるさい胸の音が止まってほしい…
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作者名:咲乃ほしは | 作成日時:2019年10月21日 21時