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ギギッと古くさい音を鳴らしてその扉を開けた。
コツコツと階段を下る。

たまにどこからかピチョンて水が落ちる音が聞こえる。

暗い中、目を光らせて暗視する。
階段を下り終わって音の鳴る方へ向かう。

する、確かに、今度は確かにAの気配がする!

やった、やっと助けられる

鉄格子の向こう、月明かりに照らされるAがいた。

「A!!」

A以外の気配が無いことをいい気になって大きな声で彼女を呼んだ

「………う?」

鉄格子のすぐ前に来て、鉄格子をガシャガシャと揺らす

「A!起きろ!起きてくれ!」

「…………だれ」

目を擦ってさも寝起きのような仕草をする彼女に場違いながら可愛いなあなんて思う。

「だれ」

ああ、なんてことだ。とは、ならない。

「……A、帰んぞ」

「だから誰です」

俺の事を知らない、知らない、誰、誰




「本当に知らないんですってばぁ!!!」



「うるせえ」

少し威圧を含めて低い声で一言そう言い放つと彼女はまた黙った

ガシャンッ、と大きな音を鳴らして鉄格子をひん曲げた。彼女が通り抜けられる程にして

そこから手を伸ばす


「俺の手を取らへんでここでずっと苦汁を舐めんか、そんな泣きそうな顔をして俺の事を知らん知らんって嘘ついて俺に見放されるか、

俺のこの手をとって俺の名前を呼ぶか」


選べ、そう選択肢を与えてずいっと手をまた伸ばした。

彼女の泣きそうな顔が月明かりに照らされる度に俺の胸は締め付けられて苦しくて堪らない。

だから、はよ俺の手を取って



無言で見つめ合う。



プツンっと糸が切れたように彼女は泣き出した
そして、俺の手をとる

「ぞ…っむ、」

ぐいっと手を引いた。俺の胸の中に飛び込む細いからだ。ああ、また細くなってしまって

「会いたかった……お前がおらんとどうも調子が狂ってしまうんや。はよ、はよ帰ろう」

彼女を胸から離して手をとる。月明かりに照らされた顔は少し痩せてしまって白い肌が病的なまでに白く感じる


唐突に彼女は顔を歪めた


同時にテレパシーで鬱が喋る



〔ゾム!!こいつゲデヒトニスやない!
骨になってまった!!〕

……違う?ゲデヒトニスじゃない?

「やめ、て、、」

その顔は恐怖に怯えていた

「逃げて、ゾ」



ぐわん、と視界が揺れた。否揺らされた
守るようにAを抱き寄せた

ゴツン、とまた殴られる




耐えろ、耐えてくれ、俺





大丈夫。お前のことは絶対に守ったるから

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アイス! - ええ話やぁぁ、、、もしかして主さん神ですか!? (2020年10月12日 21時) (レス) id: 7b09c37ff3 (このIDを非表示/違反報告)
根無し(プロフ) - サンプルさん» サンプル様コメントありがとうございます!最高の褒め言葉です! (2019年6月10日 0時) (レス) id: 7ed1204e38 (このIDを非表示/違反報告)
サンプル - めちゃくちゃ泣けた(TωT)ウルウル (2019年6月9日 20時) (レス) id: 37598dd4c5 (このIDを非表示/違反報告)
根無し(プロフ) - 理香さん» 理香様コメントありがとうございます!完結です〜!番外編もどうぞお楽しみください! (2019年6月9日 18時) (レス) id: 7ed1204e38 (このIDを非表示/違反報告)
草が頭に生えてる人(プロフ) - 完結お疲れさまです!これから番外編も楽しく読ませていただきます! (2019年6月9日 14時) (レス) id: 63555da9ef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:根無し | 作成日時:2019年6月5日 23時

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