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「買い物か」
『うわぁあ!びっくりしたぁ!!』
私が玄関を開けようとした時、突然後ろからそう声を掛けられる。
流石は柱。
気配が全くないわ。
『驚かせないでくださいよ!心臓がまろび出るかと思いました』
まったく、と頬を膨らませば、冨岡さんは悪い、と一言言って草履をはき出す。
「俺も行こう」
『えっ、でもお疲れでしょう?昨日も任務でしたし』
「この程度で疲れるほどヤワじゃない」
『うーん、それはそうかもしれないですけど………』
そりゃ冨岡さんが怪我をするところはここに来てから1回も見ていないし、柱が弱くないことなんて知ってるんだけど。
でもやっぱり、少しでもいいから休んでいて欲しい。
買い物なんて1人で行けるものだし、わざわざ着いてきてもらうほどのことじゃないから。
『それにもう夕方ですし、今日の任務にも間に合わなくなってしまいますよ』
「だからだ。」
『はい?』
いや、会話成立してないよこれ。
だからだって、何がよ。
間に合わなくなっちゃうから着いてきちゃダメでしょう。
「もう夕方だと言っただろう。だからだ。」
『いや意味がわからないんですけど』
「……お前は隠だろう。」
ジトッとした目で私を見る冨岡さん。
え、隠だけどなんなの。
冨岡さんが何を言いたいのか全然分からない。
首を傾げれば、はぁー、と深いため息が聞こえて、思わず肩をすくめる。
「日が暮れれば鬼が出る。だから着いていくと言っているんだ。」
ああ。
そっか。
心配、してくれてたんだ。
私が隠で刀を持たないから。
そっかぁ。
心がポカポカと暖かくなる。
どうしよう、なんだかすごく嬉しいな。
『冨岡さん、ありがとうございます』
お礼を言えば、冨岡さんはくるりと後ろを向いて歩いていってしまった。
本当に、口下手な人だなぁ。
ふふ、と笑えば、早く行くぞ、と急かされる。
『はーい!明日のご飯何がいいですか?』
「鮭大根」
『ええ!またですか!?一昨日も鮭大根だったじゃないですか〜!』
前を歩いていた冨岡さんの隣に並べば、彼の歩くペースが少し落とされて。
それを見てまた少し頬が緩んでしまった。
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きよりん(プロフ) - わらび餅。さん» 飲み会(笑)いえいえ、指摘なんて失礼しました。 (2020年7月8日 10時) (レス) id: 599608a929 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅。(プロフ) - 義勇大好きな女さん» わ〜!そんな風に言っていただけて嬉しいです!お読みいただきありがとうございます〜!! (2020年7月8日 6時) (レス) id: b794bc2212 (このIDを非表示/違反報告)
義勇大好きな女 - 話終わったら、目から水が、、、!? (2020年7月7日 22時) (レス) id: 8ebef6a95a (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅。(プロフ) - きよりんさん» そうです、軟骨になってますね……笑ご指摘ありがとうございます、直しておきます……軟骨と包帯って今から飲み会でもやんのか?って感じですねすいません……笑 (2020年7月7日 5時) (レス) id: b794bc2212 (このIDを非表示/違反報告)
きよりん(プロフ) - 31話と32話に軟骨とありますが軟膏の事ですか? (2020年7月6日 23時) (レス) id: 599608a929 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わらび餅。 | 作成日時:2020年5月22日 11時