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義勇side
ごめんください、と扉の向こうから聞こえたのはつい数時間前。
はて、来客の予定などあっただろうか。
そんなことを考えながら扉を開ければ、何故か隠が立っていて。
『あっ、隠の日生Aと申します!よろしくお願いします!』
「………ああ。」
あまりにも大きな声で挨拶をするものだから、つい呆気に取られて返事をしてしまったのだ。
それが悪かった。
日生という隠はそれから普通に俺の屋敷に入るといきなり怒鳴りつけてきて。
突然の大声に俺はビクッと肩を震わせてしまう。
ふんっ、と鼻息荒くズカズカと屋敷の中に入っていく隠を訳もわからず呆然と見つめた。
それから彼女はどこか出かけたのか分からないが、また静かな屋敷に戻る。
なんなんだ、あいつは。
いきなり来たと思ったらいきなり去っていく。
隠が来るなんて話は誰からも聞いていないし、そうなるとこれは彼女のお節介なんだろうか。
そうはいっても俺と彼女はなんの面識もない。
一体どういう事なんだろうか。
悶々と考えていれば、また扉が開く音。
どうやら町へ行っていたらしい。
それからは早かった。
夕食だと呼ばれて部屋に戻れば、そこには鮭大根が。
久々に食べる人の手料理に、胸が踊る。
味も中々俺好みの味だったのだ。
日生はよく喋る女だった。
ころころと表情は変わり、明るい声で得意料理や味付けのコツを話していく。
嬉々として話を進める彼女に、俺はすっかり毒気を抜かれてしまい、彼女がなぜここに来たのか聞くのを忘れていた。
夕食を食べ終わると湯浴びをしてこい、と言われる。
まさか、とは思うが。
「……泊まってくのか。」
『?当たり前じゃないですか』
俺の言葉に不思議そうな顔をする日生。
当たり前、なのか。
見たところ18、19あたりだろう。
そんな年頃の女が男の家に泊まるのは当たり前なのだろうか。
「……そうか。湯浴びをするならお前が先に入るといい。」
俺はもう考えるのを放棄した。
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補足
お館様は義勇さんに専属の隠をつけることは伝えていませんでした。もし伝えてしまえば義勇さんが即断ること、来た隠を追い払ってしまうことを分かっていたからです。なので義勇さんは何故Aさんが屋敷に来たのか全くわからず、客人としてもてなしています。
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きよりん(プロフ) - わらび餅。さん» 飲み会(笑)いえいえ、指摘なんて失礼しました。 (2020年7月8日 10時) (レス) id: 599608a929 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅。(プロフ) - 義勇大好きな女さん» わ〜!そんな風に言っていただけて嬉しいです!お読みいただきありがとうございます〜!! (2020年7月8日 6時) (レス) id: b794bc2212 (このIDを非表示/違反報告)
義勇大好きな女 - 話終わったら、目から水が、、、!? (2020年7月7日 22時) (レス) id: 8ebef6a95a (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅。(プロフ) - きよりんさん» そうです、軟骨になってますね……笑ご指摘ありがとうございます、直しておきます……軟骨と包帯って今から飲み会でもやんのか?って感じですねすいません……笑 (2020年7月7日 5時) (レス) id: b794bc2212 (このIDを非表示/違反報告)
きよりん(プロフ) - 31話と32話に軟骨とありますが軟膏の事ですか? (2020年7月6日 23時) (レス) id: 599608a929 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わらび餅。 | 作成日時:2020年5月22日 11時