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『つ、着いてしまった…………』
ついに水柱邸。
2週間ぶりに見る水柱邸は前と変わった様子は何も無い。
軟膏と包帯を渡されたということは、まだ腕の傷は治っていないんだろうか。
ここで立ち止まっていても仕方ないよね。
『ごめんください!』
すっと思いっきり息を吸い込んで腹の底から声を出す。
そうすれば、初めて会った日のように開かれる扉。
「…………何の用だ。」
1週間ぶりの義勇さんは、初めて会ったあの日よりも幾分も冷たい表情をしていて。
怖い。
こんなに冷たくて感情のない表情を向けられるのは初めてで恐怖に足がすくんでしまう。
でも、これは仕事だから。
『……しのぶさんからの頼まれ物を届けに参りました。』
「…そうか。受け取ったからもういい、帰れ。」
『………手当をするようにと仰せつかっておりますので。』
「必要ない。帰れ。」
怖い。
怖いけど。
『仕事ですので!!水柱様が嫌でも仕事を怠る訳にはいきません!!』
もう少しだけ、貴方のそばに居たい。
我儘だと分かっているけれど、最後に一度だけ貴方に触れたい。
私は義勇さんの制止の言葉を無視してズカズカと屋敷に上がり込む。
上がり込んだ先には。
『これ………………』
敷きっぱなしの布団に、溜まりに溜まった洗濯物。
食器はそのまま洗わずに置いてある。
はっきり言って、かなり汚い。
最初に来た時よりもずっと汚いんだけど。
何があったんだこれは。
「……見るな。お前の仕事は手当てだけだろう。」
忌々しそうに顔を歪めた義勇さんは上を脱いで、怪我をした右腕を出してきて。
いきなり眼前に晒された逞しく鍛え上げられた身体に思わず息を呑んで固まってしまった。
義勇さんの早くしろ、とでも言いたげな表情に黙って包帯を外していく。
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きよりん(プロフ) - わらび餅。さん» 飲み会(笑)いえいえ、指摘なんて失礼しました。 (2020年7月8日 10時) (レス) id: 599608a929 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅。(プロフ) - 義勇大好きな女さん» わ〜!そんな風に言っていただけて嬉しいです!お読みいただきありがとうございます〜!! (2020年7月8日 6時) (レス) id: b794bc2212 (このIDを非表示/違反報告)
義勇大好きな女 - 話終わったら、目から水が、、、!? (2020年7月7日 22時) (レス) id: 8ebef6a95a (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅。(プロフ) - きよりんさん» そうです、軟骨になってますね……笑ご指摘ありがとうございます、直しておきます……軟骨と包帯って今から飲み会でもやんのか?って感じですねすいません……笑 (2020年7月7日 5時) (レス) id: b794bc2212 (このIDを非表示/違反報告)
きよりん(プロフ) - 31話と32話に軟骨とありますが軟膏の事ですか? (2020年7月6日 23時) (レス) id: 599608a929 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わらび餅。 | 作成日時:2020年5月22日 11時