【鬼滅の刃】冨岡専用の隠ちゃん。【冨岡義勇】

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義勇side






それから屋敷に戻った俺は、彼女に不快な思いをさせてしまった事を詫びた。





『いっ、いえ………その、すみません、振り払ったりして』





目を泳がせながら話すAに俺の心はまた抉られる。






だが仕方ない。





俺は常に彼女に触れたいと思っているが、彼女が望んでいるのはもっと軽い関係なのだと思う。





Aの気持ちが追いつくまでは何もする気は無い。





彼女を傷つけたくはないし、何より折角手に入れた愛しい彼女に嫌われることが嫌だったから。





ひたすら謝る俺に、彼女はまた泣きそうな顔で。





『……すみません、今日は疲れたのでもう寝ます』





「…………あぁ、おやすみ。」





『はい、おやすみなさい。』





そう言ったっきり、俺が彼女と顔を合わせることはこの一週間なかった。





『……義勇さん』






「A…………」





1週間ぶりに呼ばれる自分の名前と、1週間ぶりに見る彼女の顔に胸が高鳴るのがわかる。





今すぐに抱きしめたい。





でもそれはまだ許されないから。





『いってらっしゃい。お気をつけて。』





普段よりもぎこちなくそう言う彼女にどうしようもなく胸が痛くなる。





俺が彼女を傷つけた。





もしかしたら、胡蝶の言う通り俺の気持ちがきちんと伝わってないかもしれない。






俺は彼女に甘えすぎている。






「あぁ。……戻ったら話がある。」






だからきちんと話をしよう。






俺はAのことを好いていること。






Aに常に触れたいと思ってしまっていること。






それでも、Aが嫌がる事はしたくないからいつまでも待つ覚悟があること。






Aがそばに居てくれて幸せなこと。






全部全部、今夜ゆっくり話せばいい。






優しいAなら、どんなに俺が言葉に詰まっても焦らず向き合ってくれるはずだから。






『……分かりました、待ってます。』






長い間を空けてそう言ったAは、今まで見た事がないくらい苦しそうな顔をしていて。









俺が任務を終えて走って屋敷に戻った時、屋敷には誰も居なかった。

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