彼らとの毎日５日目 【短編集】【Fischer's】

☆チョコレート に【Silk】 ページ19

本当、美味そうに食うよな。


目をキラキラさせたまま、もぐもぐ口を動かす彼女を眺める。


それだけで、俺まで満たされるみたい。


俺の視線に気付いたようで、

彼女は、


｢シルク、本当に食べないの？｣


と、首を傾げる。


｢ん、お前が幸せそうに食ってるの見てるだけで、十分。｣


そう言うと、

彼女は、また嬉しそうな顔をした。


素直なとことか、また、可愛んだよな。


｢そう？美味しいのに。｣


｢そんな？｣


｢うん、めっちゃ。食べなきゃ損。｣


｢ん〜、じゃあ、一個貰う。｣


そう言って口を開けたら、

んーとね。

と彼女は、チョコレートを選んで、


｢はい。｣


と、放り込む。

ふわりと、程よい甘さが口の中に広がった。


分かる。

多分、俺のためにビターを選んでくれたんだ。


｢うま。｣


微笑んでから、ぱっと彼女を見ると、


｢ほらね？｣


と言いながら、手についた、溶けたチョコをちろりと舐めてた。



心臓が、1度大きく波打って、

ちょっと、俺の中に、悪い心が芽生える。



｢俺も、食わせてやろうか。｣


彼女は、嬉しそうに、何にも知らないで頷いて、


｢どれがいい？｣


俺も、悟られないように、いつもみたいな表情を浮かべた。

そしたら、彼女は、少し悩んでから、

これ。と指をさす。


それは、ハートのホワイトチョコレート。


めっちゃ、甘そう。

いいや、これから。もっと、甘くなる。

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