彼らとの毎日５日目 【短編集】【Fischer's】

☆体育館 よん【Silk】 ページ13

｢頑張って。応援してる。｣


たった二言。

手は震えるし、声も震えてるし、本当にひどい。


だけど、だけど…！

やっと、言えた…！


彼は、ふわりと微笑んで、


｢おう。｣


と言ってから、その前髪をかきあげた。


あぁ、やっぱり、かっこいい。

今だけ、彼を独り占め？

なんて。


明日からも、きっと、頑張れる。


そんな風に思っていたら、

ふと、彼が、


｢…じゃあ。｣


と、言葉で空気をさいて。


嬉しそうに、笑ってから、


｢次の試合、勝ったら、飯行こ。｣


そう、続けた。


｢…へ？｣


私の口からは、間抜けな音。

きっと、今の私は、顔の力が全て抜けたみたいな、ひどい表情だろうな。

くらべて、彼は楽しそうに、


｢なんか、嬉しかったから。｣


と、照れ隠しなのか、鼻を触る。


｢どう？｣


瞳。真剣。

バスケットゴールを見据える時の、

あの、私の心も射抜いた瞳。


｢う…うん。｣

躊躇いながらも、答えると、

彼は、よしっ！と膝を勢いよく叩いてから、


｢次の試合、頑張れるわ。｣


と、また、無邪気に笑う。

ドキリと心臓が跳ねた。


だってそんなの。


｢嬉しい。｣


思わず、口から飛び出て、

それから、自然に笑顔になってしまってて。


ぽかんとしたような、彼の表情が見えた。


慌てて、

えっと、あの、応援に行くから！

と、続ける。


そしたら彼は、


なんだか、今までとは少し違うように、

決意を持ったように、


微笑むと、



｢お前のために、絶対に勝つ。｣



そう、言った。



✽.｡.:*・ﾟ ✽.｡.:*・ﾟ ✽.｡.:*・ﾟ ✽.｡.:*・ﾟ ✽.｡.:*・ﾟ
いかがだったでしょうか。

楽しんでいただけたら、幸いです。

多分、今、

作者は、猛烈に、フィッシャーズの誰かと飯に行きたいんだと思う。笑

☆可愛い後輩 いち【Motoki】→←☆体育館 さん【Silk】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す