http://名探偵と私 ページ48
・
香煙の揺らめき
替えられたばかりの生花
墓石
この匂いは嫌いじゃない
瞳を閉じて故人に手を合わせた
「＿＿こんにちは」
砂利を踏む音
近付く足音
聞き覚えのある声
たっぷり勿体ぶって目を開いた
「お久しぶりです。俺の事覚えてますか」
『...あぁ。高校生探偵の工藤、だろ？』
「ははっ、やっぱり変わってませんね」
整った顔を少し崩して奴は笑った
「それにしても驚きましたよ。まさか貴方が、拘留所を出て最初に足を運んだ先が＿＿コナンの墓だったとは」
『何で分かったんだ？』
「執行猶予付きの貴方を担当する係に聞いたんです。そしたら最初に行かれた先がここだと聞いたので」
『なるほどな』
変に納得しながら墓石を見上げた
『...遺体の無い異例の葬式、だったか。これみよがしに墓まで作りやがって』
飾られた花を
添えられた菓子を
苦々しく一瞥した
「＿＿人の死亡率は100%。明日、明後日、明明後日。生きていける保証は、無い」
『...それはあのガキにしか言った覚えがないんだけどなぁ？』
組織瓦解の直前に、眼鏡のガキに放った言葉だ
「...コナンが教えてくれたんです。それに、あいつには“その時”が誰よりも早く訪れただけです」
『...そうかよ』
人は平等じゃないから
ただ生きていればいいなんてものじゃ説明出来ないから
『＿＿人殺しの両親も、理不尽に殺された被害者達も、短い生涯に幕を閉じたあのガキも。
死んだらいつかは消さなきゃいけない日がくる。死に痕だけがいつまでも蔓延れる程この国は赦されてない
＿＿だから私はこの仕事を選んだ』
誰かに消してもらうのはきっと義務であり、権利で
『そういや私の事、お前には、名乗ってなかったな』
しゃがんでいた体勢を起き上がらせ立ち上がる
『高田A。職業は、死体処理
＿＿では、今は無いけどな』
当たり前だが退職届は出した
今でも会社と仲間には迷惑をかけたと思っている
『これからハローワークで仕事探さなきゃだよ。前科持ちだから難しいけど』
でも、と言葉を繋いで視線を合わせた
『いつか胸を張って、自分こそが死体処理の仕事をしてるって言えるように』
「あの仕事が大好きなんですね」
『あぁ、私にとって天職。＿＿この仕事しか無いって思える』
私らの間に緩い風が吹き抜けた
http://このページは取得不能なため、一度電源を切り再びログインして下さい→←http://未来
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1606人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫苑(プロフ) - うぐぅ...こんな子供たちいたら胃に穴が開く...絶対...二次元だから良いけど（） (2月13日 5時) (
レス) @page14 id: 89604d43a6 (このIDを非表示/違反報告)
玲生(プロフ) - 号泣して枕びしょびしょなんですど (2月12日 1時) (レス) @page49 id: 7f34fd14ff (このIDを非表示/違反報告)
りと - おっと目頭が熱く…。白の心も黒の心も持ち、どちらの立場にも影響を受け、でも自分を突き通す夢主…カッコよすぎか？？コナンとの関わりがめちゃ好き…お互いに隠し事があって、互いにそれを分かってるし何も言わないけど大切な存在となって…最高やな…お疲れ様です。 (2月2日 16時) (レス) @page50 id: 8e83563274 (このIDを非表示/違反報告)
たうふ(プロフ) - ジンと高田の最後にも納得がいきましたし、わざわざコナンの墓を立てるとかいう神エピソードを書いてくれてありがとうございます…泣きました。とても感動しました。素晴らしい作品を有難うございます！！ (8月14日 1時) (レス) @page50 id: 8ce4de47eb (このIDを非表示/違反報告)
月無夜 蓮依乃(プロフ) - めっちゃいい話ですね…作ってくれてありがとうございます…個人的には最後一緒に死んでほしかったな… (2023年1月26日 2時) (レス) @page50 id: 6d50191cd0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リンドウ | 作成日時：2019年5月12日 23時
