http://家族の不在 ページ42
話をしませんか、なんてアバウト過ぎて何処から話せばいいのやら
だが不思議と漂う穏和な空気に身を任せていた
『覚えてます?貴方が私の前に現れた日の事』
「あぁ」
ベレッタを下ろすが、その手には依然として握られたまま
『__私の両親には人を殺害し隠蔽する“才能”があった。それに目を付けたのがジンさん』
「俺はその夫婦を組織の戦力として雇った。だがお前の両親は金を無心し組織の人間を殺していった」
...だから、殺したんですね
言えなかった。それだけの話だ
『あの両親の奇行は酒と煙草切れによる抑制みたいなもの。人殺しが抑制になるって...
まぁでも救いようの無い親代表みたいなものだったので、酒も煙草にも一切手を出しませんでしたけど』
結局あんな大人になりたくないと外面だけ着飾ろうとも中身は対して変わらない
流石に食べ物確保の為に死体を食おうとまでは思わなかったけれど
それでも親が親なら子も子って事か
『何で貴方の手を取ったのか分からないんです。何で生き延びれたのかも謎ですし、今思えば子供の行動って突飛してますよね』
考えるよりも先に行動しがち
子は宝、なんてよく言うけれど知能の浅い生物じゃないか
『金さえあれば、あの親から逃げれたし、子供でさえなければ、一人で生きていく事も出来た筈、なのに』
...私は何処か矛盾している
「__お前に罪はねぇよ」
時にその足枷に引っ張られそうになって
時に償いの言葉に潰されそうになって
なのに、何で今このタイミングで。一番欲しかった言葉を言ってしまうの
『ふっ、うぅ...おとうさん。おかあさん...!』
止めどなく溢れる涙
漏れる嗚咽
カレーをフォークで食べてたら直されて
母と女同士で買い物なんかしたりして
父が内緒でお酒を飲ませてくれたりして
それらが理想論だとしても、何処かで私達は家族でいられた筈なのに
『...すみません。見苦しいとこを』
「__俺も悪かった」
睫毛を伏せた彼に眉を下げた
『どのみちあの親は最終刑で死んでました。謝る必要はありません』
彼が再びベレッタを向けたが何故か分からないが落ち着いていた
「__目には目を。歯には歯を。罪深き罪人には制裁を」
『あの日、貴方の手を取った瞬間に私も貴方と同じ犯罪者です。__だから二人で終らせましょうか』
流し切れなかった涙が一筋溢れ落ちる
目を閉じたが最期。耳をつんざく音が聴こえた
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紫苑(プロフ) - うぐぅ...こんな子供たちいたら胃に穴が開く...絶対...二次元だから良いけど() (2月13日 5時) (レス) @page14 id: 89604d43a6 (このIDを非表示/違反報告)
玲生(プロフ) - 号泣して枕びしょびしょなんですど (2月12日 1時) (レス) @page49 id: 7f34fd14ff (このIDを非表示/違反報告)
りと - おっと目頭が熱く…。白の心も黒の心も持ち、どちらの立場にも影響を受け、でも自分を突き通す夢主…カッコよすぎか??コナンとの関わりがめちゃ好き…お互いに隠し事があって、互いにそれを分かってるし何も言わないけど大切な存在となって…最高やな…お疲れ様です。 (2月2日 16時) (レス) @page50 id: 8e83563274 (このIDを非表示/違反報告)
たうふ(プロフ) - ジンと高田の最後にも納得がいきましたし、わざわざコナンの墓を立てるとかいう神エピソードを書いてくれてありがとうございます…泣きました。とても感動しました。素晴らしい作品を有難うございます!! (8月14日 1時) (レス) @page50 id: 8ce4de47eb (このIDを非表示/違反報告)
月無夜 蓮依乃(プロフ) - めっちゃいい話ですね…作ってくれてありがとうございます…個人的には最後一緒に死んでほしかったな… (2023年1月26日 2時) (レス) @page50 id: 6d50191cd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リンドウ | 作成日時:2019年5月12日 23時