血の通わない人形 (ページ49)

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辰哉side

最後に挨拶。

本当に最後だ。

お世話になったお医者さんや看護師さんが小児病棟入口のところまで見送ってくれた。

辰哉「ありがとうございました。」

ラウ「・・・・・・。」

辰哉「ラウ？たくさん助けてもらったから、ありがとうだね。」

やっぱりビクビクと震えているが、

小さくお辞儀をする。

・

お医者さんが近づき、

ラウールの目線までしゃがむ。

医者「ラウ君。これからはお兄さん達がラウ君の味方だよ。たくさん甘えて、困ったらなんでも言っていいんだからね。」

ラウ(頷く)

辰哉「本当にありがとうございました。」

深くお辞儀をして、小児病棟を後にした。

・

エレベーターを降りる。

人がいると怖いと思って、

退院を朝の割と早い時間にしてもらったが・・・。

やっぱり大きい病院だがら、

それなりに人がいるね。

ラウ「・・・にぃ・・・。」

こうやって助けを求めてくれるようにもなった。

それが素直に嬉しい。

俺の手をぎゅっと握る。

それに俺も応えるように握り返した。

緊張しているのか、パーカのフードを被り、うつむきながら歩く。

ラウールは、小児病棟から久々に外に出る。

今までどういう環境にいたかわからないが、おそらく、学校に行っていないことを考えると外には出ていなかったと思う。

こういうガヤガヤとした雑音がある場所はやっぱり怖いみたい。

辰哉「あとちょっとだよ。車に照にいいるからね。」

・