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辰哉side
今日は退院の日。
退院ということは前々から伝えていたが、
朝からオロオロとしているラウールの姿が。
布団がぽっこりと膨らんでいる。
ベッドに縮こまり、小っちゃくなっていた。
久々の外に出るということに緊張しているんだと思う。
ナースステーションに顔を出す。
辰哉「本当にお世話になりました。」
医者「良かったです。一時はどうなるかと思いましたが。お兄さんがラウール君に真摯に向き合ったからですよ。」
照「先生には感謝しかないです。本当にありがとうございました。」
医者「大変なのは、これからかもしれません。体も心も今までの悲惨な生活に慣れているので、痛みや孤独を求める可能性があります。焦らず、ゆっくり。休憩しながら、見守ってあげてください。とりあえず、週に一回のカウンセリングを忘れずに。」
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本当に先生には助けられた。
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反応がない時・・・
ふっと意識を飛ばす時・・・
人を怖がっている時・・・
いつも相談に乗ってくれた。
俺らもお別れが寂しいくらい。
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挨拶を終え、再び病室に戻ると、着替えて、布団からは出ていたが・・・
ラウールはベッドに座って、やはり震えていた。
照「大丈夫。車で帰るから、すぐだよ。怖くないよ。」
辰哉「病院ともお別れだよ。後で先生にばいばいしようね。」
首を縦に、頷いた。
照「俺、車に荷物運んでくるわ。下で待ってるよ。」
辰哉「おう。」
荷物を畳み、
病室を後にする。
・
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作者名:ゆり | 作成日時:2020年12月18日 23時