血の通わない人形 (ページ30)

今日:35 hit、昨日:58 hit、合計:641,221 hit

―３０― ページ30

辰哉side

最近は、休日も病院に顔を出すことが深澤家の習慣になっていた。

一度にたくさん来ると、集中治療室だし、色々制約があるから、順番で。

今日は、俺と亮平だけ。

まあ亮平は、この病院の外来で実習生としても勉強しているから、よく休憩時間にも気にしてみてくれているみたい。

・

・

辰哉「おはよ。ラウ。いい天気だよ。」

亮平「午後から雨らしいけどね(笑)うん。安定してる。」

モニターを見ながら確認をする。

少しずつ、体の傷や骨折とかも良くなってきていて、

体を拭いてあげられるようにもなってきた。

亮平に教わりながら、丁寧に体を拭いてあげる。

それでもまだ体に残る痛々しい傷や痣の数々。

体のいたるところにあるのを見るとまた辛くなる。

手を握り、優しく拭いてあげる。

・

辰哉「あっ・・・。」

伸びている爪が目に入る。

たぶん、前に握った時は気にならなかった。

亮平「ちゃんと生きてるから、伸びているんだよ。後で切ってあげなきゃね・・・。」

そっか・・・

体は生きたいって思っているんだね。

嬉しかった。

涙が出そうになるのをグッとこらえて、

体がきれいになるように手を動かした。

・