―348― ページ43
蓮side
・
帰り道の車の中。
もちろん悩んでいたのは役作りなんかじゃなくて、
家族のこと。
ラウールとの関わりをどうしたら良いのか、
解決の糸口を探していた。
蓮「マネージャーがさ、ふとした時に教えてくれたの。何のきっかけかわからないけど、見えないものが見えてくる時期が来るって。」
蓮「ラウが倒れたのがそのきっかけだったのかなって。家族の空気が変わったからさ、きっといつかみんながまた元通りになれるって・・・思ってた。」
蓮「ラウが自分を否定しないで、安心して兄貴たちに甘えて過ごせる日が来ると思ってた。」
辰哉「蓮・・・」
蓮「だから、ほんとに悔しいよ。こんな、こんな大きなものを抱えてたなんて。」
ラウールが抱えていたものが大きすぎて。
こんなひどい目に合っていたなんて・・・。
俺らの想像の範疇を優に超えていた。
今さら過ぎて、遅いけど。
気づけなかった後悔が押し寄せる。
蓮「俺らさ・・・バカだよ。」
辰哉「ほんとだね。」
視界が潤み、
頬に涙が伝う。
辰哉「なんかさ、俺、ラウに言われてるような気がするもん。」
蓮「・・・・・・。」
辰哉「今度はお兄ちゃんたちが償う番だよって。」
辰哉「俺らの罪はさ、たぶんこれからもずっと続くんだと思う。ラウが抱えてたみたいに。償いをこれからは俺らがしてくんだね。きっと。」
辰にいのその言葉に、
ふふっと笑みがこぼれた。
蓮「ラウはきっとさそんなこと言わないよ。どんなにひどいこと言われてもさ、お兄ちゃんが大好きだったから。」
・
1020人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆり | 作成日時:2022年11月1日 0時