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亮平side
・
ラウールを見つめる蓮。
呆然と佇み、
そっと、ラウールの頬を撫でる。
潤んだ蓮の目からは涙が零れ落ちる。
気の利いた言葉なんかまったく出てこなくて。
俺はそれをただただ・・・
眺めることしかできなかった。
何で、
何でこんなことになってしまったんだろう。
蓮「ラウね・・・。」
亮平「うん・・・?」
蓮「本当にずっと、ずっと謝ってた。あの事故で父さんがいなくなってから。ごめんなさい、ごめんなさいって。何百回も。何万回も・・・。何をするにもだよ。兄貴たちがいない俺だけの時も。」
辰哉「・・・・・・。」
涼太「・・・・・・。」
蓮「僕がお父さんの代わりに死ねば良かったねって。そしたらみんな・・・きっと笑顔になるねって。笑って言うの・・・。」
漏れる嗚咽をこらえながら、蓮は言葉を続ける。
蓮「もうこれ以上、家族に迷惑かけないように。邪魔にならないように。自分を押し殺して・・・。」
大介「蓮・・・・・・。」
康二「うっぅ・・・。」
蓮「家のことも全部一人でやって。兄貴たちに暴言吐かれても、殴りかかられても、僕が悪いから、みんなを苦しませてるのは僕だからって。償いだから・・・仕方ないよ。僕は大丈夫だよって・・・。」
蓮の言葉に・・・
とてつもない後悔が押し寄せる。
結局俺らは、
遅かった。
遅すぎたんだ。
何もかも。
順調に家族が再生していると思っていたんだから。
ラウールの心は脆く柔く、
すぐにでも崩れてしまうまで来ていたなんて。
・
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作者名:ゆり | 作成日時:2022年11月1日 0時