―321― ページ16
翔太side
・
ー−−−−−−−−−−−−
・
あの日は酔っぱらっていた。
照と2人と居酒屋に行ったのは急遽決まったことだった。
たまたま2人とも仕事で帰りが遅くなる予定だったけど。
偶然に仕事がキャンセルになって。
特に理由はないけど、じゃあ飲む?って。
ここ最近感じるなんとなーくの家族のもやもや。
その発散のために2人で飲んだ。
その場でラウールの話をしたわけじゃないけど。
俺もそんなに弱くないのに照がいつも以上に飲むから、
なんかあんのかな?とは思った。
そのペースに俺もいつの間にか流されて、
気が付けば泥酔状態。
完全に酔った勢いだった。
家に帰ってきてアイツを見た瞬間に、腹立つ思いが抑えられなかった。
家族の中で段々と俺ら以外がラウールを許そうとする感覚。
蓮があげていたお金のことを思い出して。
矛先はそのままラウールに向いた。
一度勢いで出してしまった言葉を・・・
止めることはできなかった。
・
翔「こいつさ、今度は蓮から金巻き上げてたよ。」
照「お前がっ、父さんの代わりに・・・」
照「死ねば良かった・・・」
翔太「お前なんか、生まれてこなければよかったよ。」
・
ー−−−−−−−−−−−−
照がラウールを投げ飛ばす光景が思い出される。
予想以上に感情を露わにして涙する照は初めてだった。
もしかして、あの時の俺らの言葉?
俺も結構酔ってたけど。
でも、照と俺で強くラウールに当たり散らしたのは覚えてる。
翔太「嘘だろ・・・?」
車内に響く独り言。
あんなにいなくなってほしいって思っていたのに。
あんなに恨んでいたのに。
あんなに・・・
止めどなく溢れる涙を
抑えることができなかった。
・
1020人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆり | 作成日時:2022年11月1日 0時