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翔太side
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翔太「はぁ〜〜〜〜〜。」
お客さんがいない時を見計らって。
出るのはため息ばっかり。
後輩に幸せ逃げますよって言われて、蹴っといた。
販売の仕事は華やかだけど、結構忙しい。
今日は余計に。
忙しすぎて、昼飯食う時間もなかった。
翔太「いらっしゃいませ〜。」
貼り付けた無理矢理の笑顔が鏡に映る。
めちゃめちゃ愛想笑いすぎて逆にウケる。
そりゃため息も出るわな(笑)
翔太「ん・・・?」
後ろのポケットに入れていた携帯がブルブルと震えて、止まる。
それがずっと繰り返される。
あいにく今はお客さん対応中。
出られる状態じゃない。
何回かそれが終わった後に、
通知を見ると、辰哉からだった。
翔太「なんだよ。めんどくせ〜。」
ラウールと色々あってから、家族の形が少しずつ変わってきていて。
完全に照と俺だけその波に乗れなかった。
だから正直、辰哉とは気まずい。
お客さんがひと段落したところで、一旦場所を移動する。
辰哉がこんなに連続でかけてくるなんて、珍しい。
やっぱり何だか気になって、気づいたら折り返しをしていた。
翔太「もしもし。今仕事中なんだけど。急用?」
辰哉「・・・翔太。」
かなり動揺している辰哉。
何?
マジで何なの?
辰哉「ラウがさ、ラウが・・・。」
ラウが、ラウがって言って、そこから話が進まない。
翔太「何?ラウールがまたなんかしたの?」
辰哉「ラウがさ・・・。」
翔太「ちょっと今忙しいから、家帰ってからにしてくんない?」
辰哉「死んじゃった・・・。」
翔太「は・・・?」
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作者名:ゆり | 作成日時:2022年11月1日 0時