血の通わない人形３ (ページ13)

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辰哉side

しばらく考え込んで、

櫻井「一人で過ごすというのは、前の家でも同じように過ごしていたことになります。確かに、独りで落ち着く部分もあるかもしれませんが、今のラウール君にはあまりお勧めできません。」

確かにそうだよな・・・

櫻井「おそらく、死にたいからやっているわけではありません。うーん、なんて言ったらいいかな？暴力があった日々からいきなり、普通の日々になると正直、体も心も違和感を覚えます。この人たちは殴ってこない。なんでだろう？だったら自分で自分に罰を与えないと・・・という感情がもしかしたら芽生えているのかもしれません。」

康二「・・・・・・。」

辰哉「・・・・・・。」

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櫻井さん曰く、虐待を受けていた記憶を取り戻そうとしているとのこと。

櫻井「衝動的にこうなってしまっても今日みたいに誰か止める人がいれば、大丈夫ですが、今のラウール君を一人にさせるのは少し心配ですね。誰もいない中だと、本人も無意識に深く切ってしまった時に命に関わることになります。」

櫻井「もう一度、長期で入院しましょうか？」

・

・

その方が良いのだろうか・・・

でも・・・

それでは、何も解決しない。

今まで与えられなかった愛情を受けるためにラウールはこの家に来た。

ただ仕事の都合上、ラウールを一人にしてしまう。

辰哉「少し、考えさせてください。」

さあ・・・どうするべきか・・・。

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