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05:大声とパラレルワールド ページ5

こんなことを言うと驚かれるが、正直彼女──Aは可愛い。本当に可愛い。
 対して僕は俗に言う陰キャだ。教室の隅でラノベ読んでるのがお似合いのイケてない男。Aとは幼馴染でもなんでもない。でも、僕たちは付き合った。

 彼女は優しい人だった。特に声が好きだった。
ふわふわっと笑ったかと思ったら、目の輝きは太陽みたいに鮮烈で。大声で笑った後に髪を触る仕草が本当に好きだった。最近何となくそれを忘れそうになるので、定期的に思い返してる。

 彼女は魅力のある人だったから、僕はひっそり片想いした。叶わなくても構わないと割り切れるのがオタクの性であったはずなのに。
 彼女がクラスの男子に──「ブス女」と言われていた。いじめられるような子じゃなかったし、何がきっかけでそうなったか覚えてないが、確かに彼女はそう言われていた。恐らくいじめられ気味の男の子を庇ってだったか、そんな感じだったはず。

 絶対勝てっこないような大きな男。
 でもあの時の僕は、尻に火でも着けられたように飛び上がって本も投げ出して、大声で叫んだ。

「女の子にそんなこと言うな!!!!!!」

 ──今思えばあの時「Aさんに」と言えてればもっと締まったのになって思う。だけどあの時は頭が真っ白で、叫んだ後罰が悪くて、注目を集めて足も震えて。
 でも何も言い返されなかった。いや、言い返されたかもしれない。本当に真っ白で覚えていないのだ。

 でもAが震えて鼻水も出てた僕の手を取って。
「ありがとう」と言ってくれたことは絶対に忘れない。

 きっとそれは夢でも幻でも無い。──と、僕は思うのだ。
 その日の授業で校内一変わった先生が”シュレディンガーの猫”の話をした。日本人はとにかく哲学といえばこれが好きで仕方ない! と熱弁してた。確かにクラスの何人かは食らいついて聞いていた。「俺それ知ってる〜!」と蘊蓄を語り出すやつもいた。
 死と生が完全に半々の確率の箱の中の猫。箱を開けるまで──二つの世界は同時にそこにある。というもの。

 ──パラレルワールド? なにそれ、漫画だけの話だ。
 君といるここが現実なんだ、間違いない。

 あの時は、そう笑い飛ばしたんだ。

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びぃ(プロフ) - #よにん。@str48&変人系カップルさん» お返事遅れてしまい申し訳ありません!完結までお付き合い下さり本当にありがとうございました……!!!m(*_ _)m (2020年8月29日 19時) (レス) id: 1463c1385c (このIDを非表示/違反報告)
#よにん。@str48&変人系カップル(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2020年8月19日 20時) (レス) id: ac2334f46f (このIDを非表示/違反報告)
びぃ(プロフ) - 「 」さん» お返事遅くなりました!ありがとうございます…!駆け足最速乱文であったにも関わらず最後まで御付き合い下さり感謝しかありません…!! (2020年8月19日 12時) (レス) id: 1463c1385c (このIDを非表示/違反報告)
「 」(プロフ) - ご完結おめでとうございます。素敵な作品で、ついつい見入ってしまいました。ありがとうございました!!! (2020年8月13日 8時) (レス) id: e81c17c75a (このIDを非表示/違反報告)
#よにん。@str48&変人系カップル(プロフ) - びぃさん» 返信ありがとうございます!通知は全然大丈夫なんですが...体調が心配だなあと感じておりまして。。。無理をしていないのなら良かったです... (2020年8月13日 5時) (レス) id: 024f1c0ff1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:びぃ | 作成日時:2020年8月10日 18時

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