兄を求めて 3 ページ5
しんぺい神side
俺がゆっくり珈琲を飲んでいると、オスマンが突然医療室の扉を開けた。
俺はうぉぅ、と声を漏らした頃には、焦っていた。
os「ｯ、ペ神！コイツを…ｯ、はよ診たってや…ｯ、！！」
と言い、ベッドに降ろされた小さな子供。
まだ呼吸はしているようだが、かなり顔色が蒼白としている。
俺は静かにしとけよ、と言い、服を思いっきり破って胸部に聴診器を当てる。
心拍数は極めて早く、外部からの出血が酷い。
腕や足、腹部などからも見えるが、何より一番酷いのは頭部。
ひゅうひゅうという呼吸音から喘息だとは見て取れるが…精密検査かなこれは。
取り敢えず俺はオスマンに包帯の用意をさせ、巻くように指示する。
俺は彼女に声をかける。
『大丈夫ですかー？』
「…シャスや、俺の妹」
『ｯ…？！いも、と…？！…いや、あとで聞かせて』
shass「…」
『薬を用意するから、オスマンは見ててやりな』
と言い、俺は薬品棚を漁る。
短時間作用性β2刺激薬を用意し、粉々に擦ったものを呼吸補助器具、スペーサーに入れる。
それを彼女の口元にやり、吸入させる。
ヒューヒュー、と音を発していた呼吸音はやがて治まり、苦しそうにもがいていた表情も和らいできた。
ま、顔色は優れないけど
『じゃあ、今から集中治療室で詳しく見るから…オスマンも見る？』
os「…おん、そうさせてもらうわ」
…
俺は隣室にある集中治療室にとオスマンとシャスを招き入れ、中央にあるベッドに降ろすように促す。
血液検査とかは、ある程度生活が戻ってきた辺りで良いけど…
os「…なぁ、ペ神」
『ん？』
os「…やっぱ、シャスが目覚めてからでええ？」
『精密検査を？』
os「…おん、やっぱ兄として、彼女にちゃんと精密検査の内訳を知ってもらいたいねん」
『…分かった』
os「…あと、俺がシャスの兄だっていうことは、絶対に言わんといてくれ」
『…理由は見切ってるけど、聞くね。何故？』
os「…彼女は、俺という、兄を求めて、ブランド国という国を作ってまで探しておる。
…クリスタルに込める使命をも、俺に全てをかけてくれてん。
…俺がシャスの兄だってことを知ってしまえば、クリスタルは割れて、死んでしまう。
幸せに過ごすなら、俺が存在を隠していればええ。
…だから、秘密にしといてくれるか？」
『……わかったわ』
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作者名：扇@リョク | 作者ホームページ：uranai.nosv.org/u.php/novel/usiro_member/
作成日時：2018年6月17日 14時
