兄を求めて 33 ページ35
オスマンside
俺は戦闘室を後にし、一旦書物庫へ向かった。
〈イリュージョン〉についても知りたいし、本も読みふけたいし。
俺は書物庫の扉を開けると、漂う珈琲の香り。さてはエーミール、一人でお茶会してるな。
そんなことを思いながら奥へ進むと、案の定...と言ったわけではないが、エーミールとグルッペンが共に飲んでいた。
グルッペンの持つ本は歴史書で、エーミールの持つ本は心理的書物...
コイツららしいな、なんて思いながら空いていた木製の椅子に腰をかけ、適当に積み重ねてあった本を手に取る。
em「ン、オスマンさん」
エーミールは本を読む目を止め、グルッペンもこちらを振り向く。
嗚呼、今日は青い瞳の日か。
二つ目の副作用の日...だったよな、みんなはそう覚えてるだけで。
gr「うむ、オスマンか」
そう、総統という身分を忘れる日のこと。
書類も一切手をつけないし、国民の前にも一切立たない。まぁ、グルッペンらしいけど。
これが周期みたいに回ってきて、それに向けて書類を頑張って終わらせる。
まったく、使えるんだか使えないんだか...。
em「?オスマンさん、どうしました?」
『い、いや、考え事をしとった...』
em「それで、ご要件は」
『あ、あぁ、そうやった...』
俺は思い出すかのように本題を思い出す。
『俺、〈イリュージョン〉について調べに来てん』
em「あー、能力についてですか、それなら...って、オスマンさんが一番分かってるんじゃ...」
gr「...調子が可笑しいな、オスマン」
...そう言った時、グルッペンの瞳が赤く光って、俺を睨みつけた。
それを見たエーミールは焦った表情をあからさまに出し、グルさん!!と叫ぶ。
gr「な、なんダ、エーミール...」
『...すまんな、ちょっと頭冷やしてくるわ』
em「そ、そうですか」
俺は空気を読んで書物庫を出ると、そこにはシャスが立ち尽くしていた。
そして、俺の腕を掴んで階段へ足を向けた。
俺はシャスに何も言えず、ついていく事しか出来なかった。
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作者名:扇@リョク | 作者ホームページ:uranai.nosv.org/u.php/novel/usiro_member/
作成日時:2018年6月17日 14時