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兄を求めて 32 ページ34


オスマンside


俺はシャスを探すために、城内を駆け回った。


何故かは分からない。


医務室を出たら、何故か体が風を切ってきた。



いつもなら気になる監視カメラも、この時だけは気にならなかった。



俺は透視しながら走っていると、戦闘室に小さい体とゾムらしき人がいる。



俺は思いっきりドアを開けて、シャスはおるか、と大きな声で叫んだ。



zm「うぉお、びっくりしたー、」


shas「うむ、オスマンさんではないか」


『...!』


私になんの用だ?と聞いたシャスに、記憶が戻った、という感覚が迸った。


『...いや、記憶が戻ったと聞いてな...』


zm「ん、今からシャスの身体測定するけど、どないする?」


shas「嗚呼、体が訛って仕方ないのだ」


俺と同じ栗色の髪を揺らがし、ナイフを片手に持ったシャスは、何とも愉快そうで、楽しそうであった。



『...大丈夫なん?起きてすぐに動いて』



shas「大丈夫よ、テリーズ国の伝染病にも患わって尚生きてる。そんな人に対して病人なんて、言わせますか」



zm「テリーズ国の伝染病って、あれやろ?不治の病っちゅー...」



shas「嗚呼、だが、何かの加護で守られてな。特例ではあるが、不治ではなかったな」



...加護...なぁ、

なんて思っていると、ゾムの身体測定は始まった。



『っちょ...』


って、止めたって無駄なんやけどな。



しかも、シャスはかなり上手だ。


ナイフの捌き方がコネシマを越しており、盗賊にやられた当の本人とは思えない姿をしていた。



まぁまぁ上手いから何とも言えずに見ていると、ゾムは体を動かすことをやめた。



zm「お前、能力使っとるやろ」


shas「...ほう」




...確かに、そうだ。

貧血を患わっているのに、こんな機敏に動けるわけがあらへん。



shas「確かに、〈イリュージョン〉は使っている。だが、こうしなければ面白くないのだ」


『...』


shas「貧血を患わっているのだから、元々はそんなに体は動かせん。だから、こうやって動く場合は副作用を忘れて能力を駆使する。」



zm「確かに、イリュージョン自体、副作用は大して重くあらへんけど...貧血を患わっているのに副作用で貧血って...アホかいな」


中止や中止、とゾムは言うと、素直に降伏したのか、了解した、と言った。


『...〈イリュージョン〉...なぁ』




...この心残りは一体、なんやろか。


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作者名:扇@リョク | 作者ホームページ:uranai.nosv.org/u.php/novel/usiro_member/  
作成日時:2018年6月17日 14時

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