ギュッとして！ ２

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『カランコロン♪』



「こんばんはー、」



カウンターの方を見ると、すでに川西さんと水田さんがお酒を飲んでいた。



「Aちゃん、待ってたわよ」



「久しぶりやな、」



川西さんは私の方を見て笑って迎えてくれたけど、水田さんはぐったりと机に突っ伏したまま。



かなりきてるのかなぁ…Ｍ−１の結果。



「ほら、水田くん、Aちゃん来たわよ。顔上げな」



「…Aちゃん来たんやあ…」



ママに言われて顔を上げたものの、その顔には暗い影が差していた。



「元気やった…？」



「…はい…」



水田さんの方は元気…ないよな。



「ほーら、水田くん！いい加減元気出しなさい！日本全国の漫才の大会で二年連続二位なんて、すごいじゃないの！」



ママが目で『Aちゃんも！』と言ってくる。



「そ、そうですよ！私は和牛さんが一番面白かったです！和牛が一番だって思ってる人、多いと思います」



私もママに促され、参加。



「私も和牛が一番だって思ったわよ！あなたたちに票入れてる人もいたじゃない！」



「ママ、ジョブズスタイルでむちゃくちゃ笑ってましたから！」



「Aちゃん、それは言わなくていい！恥ずかしいから！」



「あっ、すみません…」



「「プッ、」」



川西さんと水田さんが噴き出していた。



「何そんな二人で必死になっとんねん」



「俺、なんか元気出たわ。ちょっとだけやけど。ありがとうな」



二人とも、笑ってた。それは、テレビとかで見た無理矢理笑って頰が引きつった笑顔ではない。



心から、笑ってるように私には見えた。



「さっ、Aちゃん、ここ座りいや」



川西さんが指定したのは川西さんの隣の席。



「はい…！」



ちょっとした事なのに、なんだか嬉しくなって、色めき立った。

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