ギュッとして！ ２

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「ありがとうございました」



日が変わった頃、ママがお店の外まで見送ってくれた。



「真奈美ちゃんも、また大阪来たときに来てな〜」



「はい、また来ます！」



「じゃあ、またね」



「さようなら」



「ありがとうございました！楽しいかったです！」



ママが手を振ってくれたのに応えるように、真奈美が大きく手を振り返す。



私も小さくだけど手を振り返した。



静かな夜道を二人で歩く。



けどしばらくして真奈美は沈黙に耐えきれなくなったのか、静かな口調で話し出した。



「…倒れてよかったね」



いきなり何を言うのかと思ったら…



「倒れていいわけないじゃない。…まあ、倒れたから川西さんと知り会えたんだけどね」



ある意味中澤さんと課長には感謝だよね。



「川西さんかぁ…すごいなぁ…だってまだ私夢見てるみたいだからね、もう現実味がないっていうか…」



真奈美がなぜか息を吐く。



「絶対川西さんとうまくいってよね！もうこんなこと二度とないと思うから」



「絶対、私の幸せより川西さんに会えるっていうことの方が勝ってるでしょ」



「え？バレてた？」



真奈美がおでこに手を当てて、舌をちょっとだけ出す。



「やっぱりね」



「そりゃあ、Aの幸せも大事だけど…ねえ？」



まあ、分からなくもないけど…



「あんまり家でも和牛さん和牛さん言わないであげてよね。旦那さんかわいそうだから」



「ええ、芸能人を好きと夫を好きはまた別でしょう？」



「妬いてると思うよ、言わないだけで」



「ええー、そうかなぁ？」



「そうだよ」



やっぱり真奈美は私の一番の親友だ。



たわいもない会話をしていて、改めてそう思った。

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