棘の女王。 (ページ19)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:28,241 hit

正直者の罪ページ19

？「明日の予約はもういっぱいなのかな？」

ハゲでデブのおじさんがシャツを閉めながら鼻息を荒くしてそう聞いてくる。

ったくキモイな……とっとと帰れよ。

さくら「ごめんね？しばらく予約いっぱいなんだよね。」

精一杯の笑顔を頑張って貼り付けてその人の元に座る。

？「そっかぁ……じゃあ仕方ないねぇ……またれんらくしてね？はい。今日はありがとう。」

渡された封筒の中身を見ると、入っている5万円。

よっしゃっ。

さくら「えぇ。いいの？ありがとう～」

？「全然だいじょぶだよ～！だからまた気持ちよくなろうね♪」

そういうとド下手なウインクをするハゲ。

似合ってないっつーの。

・

・

ラブホを出て帰路に着く。

何週間か前までは全く馴染みのない世界だったのに、今ではもう生活していく上でとても大切な場所になってしまった。

ﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞｯ

家に着くと同時に振動した携帯。

ママ:今日帰らないから適当に食べておいて。

さくら「はぁ……またか。」

その一言にため息が出る。

ベッドに横になり天井を見上げた。

パパと離婚してから"ミズショウバイ"を始めたママ。

慣れない仕事で一生懸命やってくれてて、毎日朝帰りでクマを作ったお母さんを見ていると心が痛む。

ズキンｯ

さくら「いった……もう今日の人下手すぎ…」

流石にお母さんの稼ぎだけでは食べて行けなくなり、私はとうとう身体を売ってしまった。

でもお母さんにはただのバイドとしか言ってない。

さくら「バレたらやばいなぁ……」

腰も痛いし、翌朝身体はだるいし。
なんでこんなことになってるんだろ……

さくら「……ｳｯ……つら、いよ……」

誰もいない真っ暗の部屋の中、静かに涙を流した。