組織のNo.2は最推しに瓜２つだった件について４

１９４話、絶対的ルール ページ48

「……？あー、約束は…出来ませんね！」
「は？」


無茶──？思い当たる節が有りすぎ分からん！
っと首を傾げて杏寿郎さんの顔を見たら、察してくれたようで
自身の頬を軽く指先で叩いてくれたことで漸く理解した

殴られるような危ない真似は止めろ

って話か──
それは約束出来ない話だ


「確かに無茶はしたけど…あそこで私が動かなかったら山さんはもっと酷いことになっていた…だから別に後悔もしてないし、間違ったなんて思ってませんっ！」
「………それは結果論だろ？」
「結果論でもなんでも！私は友達を見捨てる薄情なヤツには成り下がりたくない！」


開き直りだと笑われてもいい
あの場は咄嗟に身体が動いてしまった
なんて、言い訳も今の空気だと通用しない事はちゃんと分かってる


「それに今回は私のせいで山さんが酷い目にあった……それで黙って見てるだけなんて人間として私が嫌だねっ」
「……ふぅ──っ、これは仮にだ！いや、万が一……億が一…例え話として……いや、仮想の……」
「(めっちゃ否定してくるなぁ)……はい」
「……君が山本の女だった場合、こんな傷だけでは済まなかったんだぞ？」


気休め程度に殴られた頬に押さえ付けていたタオルに巻かれた保冷剤に触れる杏寿郎さんの指先にゆっくりと唾液を飲み込んだ
真剣な眼差しで見つめる瞳は心配そうに揺れていた

こんな傷だけでは──

確かに、田中さんが殴るのを止めてくれたのは皆が止めてくれたのもあるが
私が杏寿郎さんのお気に入りってのを周知していたからだ


もし、私が違う人のだったら──


「この世界は縦のルールが絶対だ！…だから上の者が下の者をどうしようが下の者は何も言えない」
「……はい」
「その場合、例えAが庇った所で田中は容赦なく君を殴りつけるし、それを止める者も居ない──流石に度が過ぎれば俺は止めるが……それでも気にはしない」



「言っている意味……分かるな？」



その言葉の数々に少しだけ震えた

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