149話、染み渡る恐怖 ページ3
ピシャリッと水が飛び散ったかの様にその場が静まり返った
とてつもない低い声に私も先輩さんも……いや、この場にいる全員が震え上がったに違いない
怖すぎて顔が上がらない──
私は間違ってない
怒られることなんて……でも、極道ってヤツは縦のルールが絶対で
それを破るのは──何て事を頭の中でグルグルっと回すけど緊張の余り吐きそうだった
今まで聞いたことのない煉獄さんの声が怖かった
俯きながら経験したことのない恐怖に震えつつ
ゆっくりと前を見れば、この世の終わりを悟ったかのような先輩さんの表情があった
バサッ
「!」
「随分と酷い事をされてしまったな………一体、誰がこんな事をしたんだろうなぁ?田中?」
ヒゥッ「い、や…その…っ」
ソッと肩に暖かい温もりを感じ肩を見れば、白いクリーム色のジャケットが羽織られていた
煉獄さんの匂いがする──。
ビールの臭いで鼻が曲がりそうな程だったのに、優しい香りに安心した自分がいた
だが、背中から感じる殺気には未だに震える
ビールで濡れたからとか、そんな仕様もない理由なんかじゃない
組の若様がご立腹なのだから当然だろう
後ろを振り向けば分かるその表情も恐らく見てはイケない事など前にいる先輩達を見れば分かる
他の部下の人達も下を俯いたまま
冷たい言葉で言い捨てられる質問に先輩さんの言葉は詰まる一方で──
小さな舌打ちが斜め後ろから聞こえたけど、ビックリするぐらい小さくない ( 体感 )
「───この傷はどうしたんだ?」
「…ぁ、っと…その」
「殴られて出来たワケではないな?…誰にやられた?他にも居るのか?」
「……っ」
「──A?………首のコレ一体なんだ?説明しろ」
奥歯がカチカチなるのが分かる
最初は真っ先に目に付く頬のキズ──
親指の腹で撫でてくれる手つきは優しいのに、声は酷く冷たかった
怖くなって顔を横に逸らしたのがイケなかったんだ
バレてはイケない人にバレてしまった──
顔を上に持ち上げられ、首を凝視する煉獄さんの視線に震えた
私は悪くないのに……悪くないハズなのに……
涙が滲んだ
「……ソイツに脅されてるのか?」
静かに首を振った
「なら、何故そう頑なに言わないんだ?」
言ってしまったら最後──嫌な予感だけが伝わる
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棗(プロフ) - クロさん» そんな!?勿体ないお言葉…ッ!凄く嬉しいです!これから…だなんて、えへへ〜っ!すみません。ご期待に応えれる作品であれば幸いなのですが、これからもヲタクライフ強火で書ければ…!っと思っておりますので、少しでも楽しんで貰えるよう頑張ります! (2021年12月7日 0時) (レス) id: f6f7f83bec (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - ナキサさん» ナキサさんっ!!ありがとうございますっ!ナキサさんにそう言って貰えると嬉しいです!!応援もありがとうございますっ!日々、頑張っていきますっ! (2021年12月7日 0時) (レス) @page46 id: f6f7f83bec (このIDを非表示/違反報告)
クロ(プロフ) - 私のお気に入りの作品の中で、一番好きな作品です。棗様、いつも楽しいお話をありがとうございます!若様とヲタクな夢主ちゃんのこれからを想像しながら毎日更新されるのを楽しみにしています。これからも頑張ってください! (2021年12月6日 8時) (レス) @page39 id: 6871d01b79 (このIDを非表示/違反報告)
ナキサ(プロフ) - イケメンな若様、最高ですね〜!夢主ちゃんとの関係値が好きです。応援してます! (2021年12月6日 1時) (レス) @page39 id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 梅好きさん» 梅好きさん嬉しい言葉をありがとうございます!優しい世界に泣きそうです!とりあえず、ティッシュをどうぞ…!とても恥ずかしい気持ちで一杯なのですが、そう言って貰えると本当に励みになります!これからも頑張りますで引き続きティッシュ片手に宜しくお願いします! (2021年12月4日 6時) (レス) id: f6f7f83bec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:棗 | 作成日時:2021年11月28日 1時