組織のNo.2は最推しに瓜２つだった件について４

１６６話、罪人には容赦がない仏様 ページ20

乱暴に腕を引っ張られ放り出されたのはベッドの上だった
瞬きする間もなく煉獄さんに押し倒され、身動きが取れる状況ではなくなった


「誰にそんな下らない事を吹き込まれた？」
「…わ、私の…意思ですっ！」
「………俺を好きだと言ったのは嘘なのか？」
「………っ、勘違い…だったんです…っ」


違う──本当は勘違いだって思いたくない
勘違いだったらこんなに胸が苦しくなることは無いじゃないか
煉獄さんの胸を押しては少しでも距離を取りたかったが、そんな私の思惑を踏みにじるように煉獄さんはグッと近づくのを止めてくれなかった
鼻の奥がツーンっと痺れて、涙が溢れそうになった


泣いたらダメだ…っ


泣いたって意味がない
唇を噛み締め煉獄さんを押すのを諦めて、顔を両手で覆った

泣き顔なんて見せれない──。

そんな一心で…でも、そんなことは煉獄さんには関係なく
両手首を掴まれ呆気なく私の視界は煉獄さんで一杯になった


「…こら、なぜ隠す？」
「…っ…見られたくな、いから…っ」
「俺はAの笑った顔が好きだ──。怒った顔も、泣いた顔も…俺を思って心配してくれる表情も胸が締め付けれるほど愛おしく思う」


「だから包み隠さす俺に見せてくれないか？Aの全てを──」


愛おしそうに目を細めて微笑むその笑顔に涙は簡単に溢れた


どうしてそんなに優しいコト…言ってくれるんだ……っ


嗚咽を洩らし泣きじゃくれば、小さく笑われて
優しく抱き締められながら起こされた
背中を撫でてくれる大きな手に凄く安心した
温もりを求めるように煉獄さんの首に抱きついて額を肩に擦り寄せた


「A…教えてくれないか？どうして不釣り合いだと感じた？……そう言えば、以前は容赦についてだったな」
「……ぁ、えっと…っ見てきた景色が違う…というか、その」
「俺たちはまだ出会って日が浅い…お互いに知らないことだらけだ！だから少しずつお互いの事を知っていけば良い…何も焦ることはない…そう思わないか？」
「……っはぃ、」


住む世界が違うから勿論、見てきた景色が違う
そう言う意味合いを込めて言ったつもりだったのだが…
まさか、お互いに歩み寄っていけばいい。なんて返ってくるとは思わなかった
なんと言うポジティブ！
本当にこの人は太陽か？仏か？
罪人には容赦がない仏だけどなッ！！
煉獄さんの前向きな明るさに怯んだ

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